Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れ 34

 6歳で石橋に養子として引き取られ、盗賊団の一員になる為に訓練を受けて成長した要だったが、霞の一件依頼、彼には店の女達のお相手という役割が自ずと加えられていた。霞に限らずラ・パルフェ・タムールの女達は大なり小なり皆、客達の要求に応える為自分達の欲望を抑えた毎日を送っていた。
普通の行為に飽きた女達が...

>> 続きを読む


刻の流れー33

タイヤがジャリジャリとバラスを踏む音を立てる。聞きなれた音に要は頭を上げて窓の外に目を向けた。2ヶ月ぶりに見るガレージがそこにあった。自然といつもバイクの置いてある場所に目がいく。すっぽりとカバーが掛けられているが、シルエットを見ただけで要にはそれが自分のCB750Fだとすぐにわかった。原田が車を停...

>> 続きを読む


刻の流れー31

「原田さんが、今日店にきたんやで。」
その日の夜、環たちと仕事から帰ってきたアキラが口を開いた。
「お前がどこにいるか知らんかゆうてはった。」
アキラが皿に残ったポテチを指の先で突付きながら言った。
「それで?」
原田が自分を探すだろうとは思っていたが、こんなに早くアキラに行きついたのにはさすがの要...

>> 続きを読む


刻の流れー30

次の日から、要は働き口を探しに、新開地の繁華街まで足を伸ばした。新開地は、アキラの住む町から地下鉄で西に数駅のところにある。三宮でうろついては店の誰かに見つかるかもしれないと考えたのだ。元町、三宮に比べて、新開地はどことなく寂れた町という感があった。治安もあまりよくない。痛い足を引きずりながら何軒か...

>> 続きを読む


刻の流れー29

昨夜ほとんど眠っていない事と、極度の緊張から開放された要は昼過ぎからアキラの部屋で眠ってしまっていた。はっと気付いて、起き上がると外はとっぷりと日が暮れている。部屋いっぱいのガラクタと格闘しながら部屋の電気のスイッチを手探りで探していると、原チャの音がした。アキラが帰ってきたらしい。ばたばたと、廊下...

>> 続きを読む






Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.