Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れー28

要の家出に一番に気づいたのは、梶だった。朝食時に食堂に顔を出さないと思っていたら、命令の10時を過ぎても報告書を提出しに来ない。怒鳴りに部屋まで行くと、確か机にあったはずの軍曹の写真が見当たらないし、よく見ると明らかに引き出しの中身が抜き取られている。
「次から次へと、問題ばかり起こしてくれる。」
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微かな南風ー15

砂漠地帯の夜明けは早い 極端に言うと夜と昼の二つしかない
夜明け前に起きた3人は朝食の準備のためにキッチンに集まったまともな朝食はしばらくお別れということで生野菜多めのサラダスティーブにターンオーバー アルフとすずらんにはサニーサイドの卵焼きを作った
配膳を終え3人はテーブルに着いた テーブルにはし...

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刻の流れー27

固まった関節がやっともどり、右足がなんとか動かせるようになるまでの2週間を要はジリジリしながら待った。その日の朝の4時、みんなが寝静まった頃を見計らって要は動き出した。前の晩に身の回りの物は既にバッグに詰め込んでいた。ひき出しの奥から今まで貯めてきた金をひっぱり出してきた。50万円ほどある。これで、...

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刻の流れー26

退院から2週間後、その日、要は原田に連れられて、病院へ再診に行った。自分が肥ってしまった事を石橋に報告したことで原田を逆恨みしている要は、原田が何を言っても口をきこうともしない。原田とだけではなく、要はこの2週間ほとんど誰とも口をきいていなかった。朝、食堂に朝食を取りに行くと、そのまま5階のビデオ室...

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刻の流れー25


感情を殺して、静かに話す石橋の怒りが、ひしひしと要に伝わってきた。怒鳴られていた方がよっぽど気が楽だっただろう。石橋の部屋を辞退して、梶の後ろをついていく。この男と一緒に仕事をするというのは、それが何であれ、考えただけでも気が滅入る要だった。
梶は、5階まで、エレベーターであがり、居住区とは反対方...

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