保と香は水槽の中のテングモウミウシを見ていた。トロピカルフルーツのアテモヤの実が透きとおり、そこにウサギの顔がついたような感じで、ピカチュウに出てきそうな可愛らしさだ。
「ウミウシは何の仲間なの?」
「貝殻を無くした貝の仲間。」
「どうして、ウミウシの研究をしようと思ったの?」
「誰も研究をして...
保と香は水槽の中のテングモウミウシを見ていた。トロピカルフルーツのアテモヤの実が透きとおり、そこにウサギの顔がついたような感じで、ピカチュウに出てきそうな可愛らしさだ。
「ウミウシは何の仲間なの?」
「貝殻を無くした貝の仲間。」
「どうして、ウミウシの研究をしようと思ったの?」
「誰も研究をして...
保は、手紙を見ながら考えた。このまま、返事を書かなくてもいいと思うが、返事が届かなければ、彼女は、父親から無視をされたと思うかもしれない。父親じゃないことを伝えた方がいいと思った。
ハンカチのお礼と封筒を開いてしまった謝罪、それと父親じゃないことを手紙に書き、父親じゃないことを示すために名刺とアカ...
久しぶりに青空が広がり、ベランダに布団を干した。雲が一つもない夏空を眺めていたら、マンションの芝生にハンカチが落ちていた。風が強く、洗濯物が飛ばされたのだろう。
洗濯物を取り入れる時に気づくかもしれないが、ハンカチは強い風に煽られている。汚れたり、敷地の外に飛ばされるかもしれない。サンダルを履き、...
優はシャワーを浴びたあと、髪を乾かしていた。窓の外は、けっこう強い雨が降っている。亮太と映画を見る約束をしていたけど、雨の日にでかけるのはゆうつだ。ブローした髪も湿気で絡まってしまうし、デートにレインブーツで出かけることもできない。ブラシを動かしながら、何を着ていこうか考えていた。
LINEの着信...
南青山のフレンチの店が映っていた。緑に囲まれた解放感のあるテラス。南仏を思わせる明るく白い漆喰の壁。白いテーブルクロスの上には薔薇の一輪挿しが飾られている。着飾った男女が、ナイフとフォークを動かしている。僕には縁のない世界。
芸能人がその店の料理とスーパーの総菜を目隠しをして当てようとしている。僕...