「契約の龍」(89)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/08/03 00:28:01
俺が寝ている間に、どういう話し合いがあったのかは知らないが、その日の午後、起きてみると大公の遺体の管理は、魔法使いに任せることに決まっていた。
「…その…彼女を「使う」っていう件については?」
話し合いに割って入る形になるが、一応の確認はしておこう。
「一応、話は...
ぶろぐ、の、ようなもの。
俺が寝ている間に、どういう話し合いがあったのかは知らないが、その日の午後、起きてみると大公の遺体の管理は、魔法使いに任せることに決まっていた。
「…その…彼女を「使う」っていう件については?」
話し合いに割って入る形になるが、一応の確認はしておこう。
「一応、話は...
「…じゃあ、彼女が沈んでるのは、かなり深いところなんですね?」
翌朝。
不覚にも寝入ってしまったせいで、空腹を訴えるクリスにたたき起こされた――今度は物理的に、だ――俺は、ほとんど条件反射で、クリスに指図されるままに、温かいお茶を入れ、朝食の注文をし、クリスに給仕しながら自分の食...
とはいえ、心配事があったのでは、すぐに寝つけるものでもない。横になってみても、眠気が訪れるまでには、かなりの時間を要した。だから、耳元で聞こえるクリスの声にたたき起こされたときは、寝入ってからそれほど時間が経ってはいないように思われた。
「…ぅわ!…な、何事っ?」
あわててとび起きて、どう...
呼び出されてやってきた医師は、白衣を着ていなかった。ずっと後ろの方を、同様に白衣を着ていない助手が、大きなカバンを抱えてついてきている。
それまでの間に、クリスはベッドの方に移して寝かせてあった。
「症状が悪化したって?どんな?」
「発熱です。あと、若干脈が速くなっているような…」
...
手を洗って戻ってくると、ソファの前のテーブルの上に、薬瓶がきちんと並べられていた。…なぜか金属製のバターナイフとナプキンも。
「何でバターナイフ?」
「いちいち手を洗うのは面倒だから。適当なへらが無いから。サイズがちょうどいいから。…宿の人に了解はとったよ?」
「いつの間に?」
「...