十字架の双子。【小説】
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/10/23 14:20:30
君は僕を見下ろしていた。
勝ち誇ったような目をして、地べたに這い蹲る僕を見下ろしていた。
***
「これで完成だ。」
僕はゆっくりと目を開けた。
優しいマスターの手が、僕の頭を撫でる。
「歩いてごらん?」
マスターが椅子に座...
未来日記所有者14thの日記。
その日の出来事が「全て」小説のように綴られている。
しかし一日一回しか未来が更新されないので、大まかな事しか解らず精密さに欠けイレギュラーに弱い。
君は僕を見下ろしていた。
勝ち誇ったような目をして、地べたに這い蹲る僕を見下ろしていた。
***
「これで完成だ。」
僕はゆっくりと目を開けた。
優しいマスターの手が、僕の頭を撫でる。
「歩いてごらん?」
マスターが椅子に座...
そっか。私、死んだんだ…―――。
*
「電球の交換…ですか?」
とある大地主、フィール家のお屋敷にて。
「えぇ。この大広間のシャンデリアの電球を全て交換しておいて頂戴。」
双子の家無し子、買われた二人の...
「めんどい」
彼女はまたそう言って、笑った。
「どうして?」
そう訊くと、彼女は、また笑う。
「だってめんどいじゃん」
ぜーんぶね。
***
彼女とは保健室で知り合った。
「ねぇ、友達にならない?」
初対面の私に、いきなりそう言ってきた。
「仮病で来たんでしょ?」
...
―――彼方は生きている意味について考えた事はありますか?
意味なんて無い。
ただ生きてさえいれば、いつか死ぬ日が来る。
いつか死ぬ事が生きている意味。
そんな下らない事を考える。
それが人間。
哀れな生存競争の中で自殺する、弱い生き物。
自ら命を絶とうとする、醜く歪んだイキモノ。
それが人間。...
―――彼方は、死にたいと思ったことはありませんか?
「…」
駅のホーム。
誰も居ない、駅のホーム。
黄色い線を越えて、見つめる先は。
――パァァァァァァン
走り抜ける電車。
猛スピードで私の視界を多い尽くす、窓、窓、窓。
私の髪を舞い上げ、スカートをひらめかせ...