僕は魚を釣りながら泣いていた。 初めて得た大きなチャンスを、ものに出来ない自分が悔しかった。 涙が僕の足元に落ちた。 ふいに僕は、夢の中で母さんがくれたオトシブミを思い出した。 望、上を向きなさい。 そうだ、上を向かなくちゃ。 僕は下ばかり向いていたん...
猫はただ、風に吹かれながらひまわりの花を観ていました。
まるで懐かしいぬくもりを思い出しているかのように。
僕は魚を釣りながら泣いていた。 初めて得た大きなチャンスを、ものに出来ない自分が悔しかった。 涙が僕の足元に落ちた。 ふいに僕は、夢の中で母さんがくれたオトシブミを思い出した。 望、上を向きなさい。 そうだ、上を向かなくちゃ。 僕は下ばかり向いていたん...
「母さん、母さん!」 僕がその光を追いかけようとした瞬間、ほっぺたに衝撃が走った。 「何を言ってやがる。起きろ、コラ!」 父さんが立っていた。 僕は夢を観ていたようだった。 時計を見たら、まだ朝の4時だった。 昨夜夜更かしをしたので、まだ眠かった。 ...
母さんが死んでしまったのは6年前。 僕が4歳の頃だった。 ある日、まだ母さんが病気と戦っている頃、僕と父さんは車で母さんの病院に向かっていた。その時父さんは、僕にこんな話をした。 「望、良く聞け。母さんは今とても強い病気と戦っている。誰のために戦っていると思う?それは父...
「あった、自然薯のつるだ。」 父さんが声を上げた。 そこにはハートの様な形をした葉っぱが付いている、植物のつるが地面に刺さっていた。 父さんは用意してきた長い棒のような物で、穴を掘り始めた。 棒の先には、ちょうど羽子板のような形をした鉄が付いていて、更にその先は刃物の様に鋭く研がれている...
大人って、どうしてあんなに遅くまで起きていられるんだろう。 僕は毎晩、夜8時になると眠くなり、9時には眠ってしまう。 父さんは毎晩、野球中継を見ては大騒ぎしている。 何であんなに夢中になれるんだろう。 しかも、汚い言葉ばかり言ってるし。 「父さん、僕もう寝るよ。」 「...