「契約の龍」(62)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/06/25 15:07:10
目的の資料は、地下書庫の最下層、第八層にある。
第六層までは地上にある書庫入口から転移魔法のルートができているが、そこから下は、書庫内部の階段を下っていくしかない。もっとも、第七層・第八層の資料が閲覧される機会は、そうめったにあるわけではないのだけど。それこそ、「古文書解読」の実習の時くらいし...
ぶろぐ、の、ようなもの。
目的の資料は、地下書庫の最下層、第八層にある。
第六層までは地上にある書庫入口から転移魔法のルートができているが、そこから下は、書庫内部の階段を下っていくしかない。もっとも、第七層・第八層の資料が閲覧される機会は、そうめったにあるわけではないのだけど。それこそ、「古文書解読」の実習の時くらいし...
「実は、就職活動の一環で、王立歴史編纂所へ、ちょっと」
歴史編纂所へ入り浸ってたのは、嘘ではないからな。四日ほどだが。
「…また、地味なところを…っていうか、そんな組織があることさえ、今の今まで忘れてたぞ」
「地味でも一応は役人だからな。安定した収入があるというのは大事だ」
「だが...
その少女が「門」を潜るところを見たものは、誰もいない。もちろん、誰かの荷物に紛れ込んできた訳でも、ない。
とにかく、その少女はいつの間にかやってきて、入学手続きの列に並んでいた。彼女が携えてきた荷物はたった二つ。大きな鞄と、背中に背負ったリュックサックのみ。しかもそのリュックサックからは、何か...
女子寮の出入り口のところでクリスを見送って、夕食の前に一旦自分の部屋へ戻ろうとすると、にやにやした顔でこっちを見ている顔に出会った。
「せっかく寮まで連れ込んだのに、チャンスをふいにするなんて、いかにもアレク君らしいねぇ」
寮長のフレデリック・センダックだ。本人はまだ叙任されていないので、...
「…さて、これで大体互いの人物像はつかめたかな?アレクも…クライドも」
食べるのを終えたクリスが指先の汚れをナプキンで拭いながらそう言った。
「…いくらか誤解してるところはあるかもしれないが、まあ大体は」
「えぇーっ!誤解してるかもしれないって……それですませちゃう人なんだ?」
「...