「契約の龍」(53)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/06/10 00:17:08
クリスが日没後、ここを歩くのは、例の事件以降初めてだ。昨日までは日没前に寮に戻るようにしていたし、そもそも図書館へは資料を物色に来るだけで、調べ物自体は――クリス自身は――寮でしていた。それに、日没の時間も遅かった。
「…荷物、持とうか?」
こわばった顔をしてほとんど小走りになりながら前を...
ぶろぐ、の、ようなもの。
クリスが日没後、ここを歩くのは、例の事件以降初めてだ。昨日までは日没前に寮に戻るようにしていたし、そもそも図書館へは資料を物色に来るだけで、調べ物自体は――クリス自身は――寮でしていた。それに、日没の時間も遅かった。
「…荷物、持とうか?」
こわばった顔をしてほとんど小走りになりながら前を...
それは、春の陽だまりの中に、ぼろ屑のように落ちていた。薄い翼が裂けてそよ風にひらひらとなびいていた。
まだ幼いそれは、自分の増長を深く後悔しながら、近づいて来る死の足音に怯えていた。さんさんと降り注ぐ陽射しを、うまく取り込むことができれば、回復も叶ったかもしれないが、全身を貫く苦痛がそれを妨げ...
《竜族の外見について》
大きな体(例外あり)
硬い鱗(例外あり)
皮翼(有ったり無かったり)
肢(有ったり無かったり)
……うーむ。
自分で書き出しといて何だが……
さすが、最強クラスの幻獣。
何なんだ、このとりとめのなさは。
…というか、多分、逆なんだな。...
新学期が始まる二週間前、春期の成績が学生に交付された。
俺の方はさしあたりそこそこの成績で、とりあえず落とした科目は、無し。
クリスは……予想通り、一般教養はばらつきがひどく、「不可」もちらほらだが、魔法関連は軒並み「優」だった。一体どんな偏った教育を受けてきたんだろう?
秋期の新...
……眠れない。
課題を片づけてしまったことで、夜更かしをする必要がなくなってしまった。
眠気も感じていないのに横になるとろくでもない事ばかり頭に浮かぶ。
アレクに触れられたい、とか
アレクにすり寄りたい、とか
アレクに抱きしめられたい、とか
アレクと寝たい、とか。
...