壁の時計は3時15分を回っている。
(こんな時間に起きてるんだもん。誰だかわかんないけどコーヒーとかって飲むかなぁ・・・)
玲は思い切って書斎のドアをノックした。
「―――はい・・・。」
書斎のなかからくぐもった男の人の声が聞こえる。
玲がその返事を受け扉を押し開ける...
壁の時計は3時15分を回っている。
(こんな時間に起きてるんだもん。誰だかわかんないけどコーヒーとかって飲むかなぁ・・・)
玲は思い切って書斎のドアをノックした。
「―――はい・・・。」
書斎のなかからくぐもった男の人の声が聞こえる。
玲がその返事を受け扉を押し開ける...
「ねぇ、ママ。今日もお話して?」
夜。
自分用のベッドに潜り込んだ花音はいつものように母親に寝物語を頼む。
「そうねぇ。今日はどんな話がいいのかしら?」
「んとね~、ほら、お姫様が氷になる話。」
それを聞いた母親が微笑んだ。
「まぁ、花音。あれは氷になる話じゃないわよ?」
「でもでも...
「玲さん。明日から家にお客様が来ることになったの。孝也の従姉で『夏季ちゃん』っていうんだけど、彼女の友人が今度結婚するんだけど、その結婚式に出るためにこっちに来るらしいの。そのあと何日か家に泊まることになったの。」
いい?と了解を取る孝也の母に玲はにっこりと頷いた。
「はい。」
...
玲と孝也が婚約して一週間。
二人の間を優しく時が流れていく。
たとえば、朝食のとき、玲は朝早くに仕事に出る孝也と朝食を取るために、6時には起きた。
たとえば、夕食のとき。孝也は出来れだけ間に合うように帰宅し、玲をリビングまでエスコートした。 二人は、お互いの時間を出来る...
(―――『だってお嫁に行くんじゃないもの。』・・かぁ。)
自分で言っておきながら、何とも気の滅入る言葉である。 自分を大切に育ててくれた祖母を騙す形になってしまったのを、改めて実感してしまう。
(ううん。それだけじゃない。孝也くんの優しいご両親も騙しているんだ。)
そう思うと、...