Nicotto Town


まぷこのぶろぐ・・・か?


ぶろぐ、の、ようなもの。




契約の龍(38)

 「眠れる王子」の部屋は、王宮の本棟から離れた奥庭に別棟としてしつらえてあった。学院から戻ってからの六年余りの間、一日数回、専属の医師と魔法使いが出入りする以外は、誰も足を踏み入れていないという。二人とも、特に掃除やベッドリネンの交換はしていない、と口をそろえて言うのに、その別棟は埃も溜まらず、清潔...

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契約の龍(37)

 何と答えたものだろう。
 この人は、クリスを失うわけにはいかない、と言いつつも、もし、そうなったときのことを考えている。おそらくは、クリスの命までもが失われる事態さえ、想定しているのだ。
 魔法を使う者の立場からすれば、制御することができないとわかっている幻獣を継承させるのは、無意味な行為だ。...

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契約の龍(36)

 国王の目配せで王妃が席を立った。他の参加者を促して、その場を離れる。
 今日の茶会は、天気が良い、ということで庭の四阿で開かれている。
 心地よい風が吹いていたが、今はそれを感じている余裕がなくなった。
 王がカップを皿に置いて、口を開いた。
 「ケルヴィン学長のところに厄介になっているそ...

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契約の龍(35)

 「炭、というよりも、あれは、蜂蜜のかかったレンガだったと思うの。硬くて歯が欠けちゃったのよ。乳歯だったからよかったけど」
 「歯が欠ける程、硬い、ケーキ…………」
 王妃のあきれたような視線が痛い。
 「念のために聞くけど、それを作ったのって、やっぱり…………アレク?」
 クリスの問いに、...

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契約の龍(34)

 「両親の仕事の関係で、物心つく前から、学院内が遊び場だったんですよ。今のセシリアでも十分小さいですけど、もっと小さい…ほんの幼児の頃ですね。あまり小さな子ども、というのがいない環境なので、教職員の一部や学生に可愛がられていたそうです。……そのうちに、見よう見まねで学生のやる「集中」をやるようになっ...

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