「………は?どうしてだ?」
「セシリアは飾り甲斐がある子だからな。王妃に会わせたら、一時間以内に寸法を取りに仕立屋の団体が来る、と思う」
「飾り甲斐、って……縁もゆかりもないのに、なぜ?」
「言ったろう?王妃には子供がいないって。ジリアン大公によれば、今後も望めないらしい。代償行為、っ...
ぶろぐ、の、ようなもの。
「………は?どうしてだ?」
「セシリアは飾り甲斐がある子だからな。王妃に会わせたら、一時間以内に寸法を取りに仕立屋の団体が来る、と思う」
「飾り甲斐、って……縁もゆかりもないのに、なぜ?」
「言ったろう?王妃には子供がいないって。ジリアン大公によれば、今後も望めないらしい。代償行為、っ...
「うわぁ……広ぉい」
案内された部屋に入って、まずセシリアがこう言った。同じ感想を俺も持ったので、案内してくれた使用人にもう少し小ぢんまりとした部屋はないのか、と尋ねたが、聞き入れてもらえなかった。
「ここなら、リンちゃんも自由に飛びまわれるかなあ?」
セシリアが鞄の一番上に入れていた...
「おお、そう言えば、そなたが倒れた、と聞いてとんできたのだが…「龍」がらみだったのか?」
「ええ。ジリアン大公に「龍」への接触の仕方を見せていただいて、一緒について行ったら、「龍」に食べられかけましたの。慌てて逃げてきたんですけど、力を使い果たしてしまって。……もし、アレクが「力」を分けてくれ...
その人がいるだけで、周囲の空気の色が変わる、というほど存在感のある人がいる。
アドルフ・ゲオルギウス・ゲオルギア、現国王もその一人のようだ。私的な訪問、しかも日帰り、という強行日程のため、随従がわずか一人、という身軽さにもかかわらず、彼が玄関ホールに入った途端、その場にいる者の目が集まる。…も...
「申し訳ありません。…自分でもどうしたいのか、よく分からないんです。彼女は彼女で、何か計画があるようなので。それに、今は…」
「…そうよね。…ごめんなさいね。さしでがましいこと言っちゃって。第一、肝心の彼女が今ああだしね」
気まずい沈黙の中、カップの中身をすする音だけが聞こえる。
カッ...