真夏のルフラン(中篇)
- カテゴリ: 自作小説
- 2014/09/01 00:00:50
「東野・・・慎一郎君?」
彼女が言った。
僕は頷いた。
「ウチ、川田恵、言うんじゃけど・・・」
「おばあちゃんから聞いた」
「東京から来たんじゃろう?」
「うん」
「時間どんくれえ掛かったん?」
「・・・家を出てからここまで七時間ちょっとかな」
「よう、一人で来れたなあ・・・大変じ...
「東野・・・慎一郎君?」
彼女が言った。
僕は頷いた。
「ウチ、川田恵、言うんじゃけど・・・」
「おばあちゃんから聞いた」
「東京から来たんじゃろう?」
「うん」
「時間どんくれえ掛かったん?」
「・・・家を出てからここまで七時間ちょっとかな」
「よう、一人で来れたなあ・・・大変じ...
県境に近いトンネルを抜けると、深い緑に覆われた山腹と眼下の岩や大きな石だらけの
谷間を流れる川以外には何も見えなかった。
次のトンネルを抜けると川沿いに細い道路が続いているのが見えてしばらくすると
山の麓が少しだけ開けて来て狭い平地に細々と水田が続いている光景が窓の外に
見えて、やがて所々に古びた...
攻撃開始から空爆、ミサイル攻撃、榴弾砲等の攻撃が続けられ、国境付近の
半島の北の国の部隊は壊滅、或いは後退し陸上部隊は進撃を開始した。
それから3週間程の間に僕が目撃、体験した事は生涯、僕の記憶から消える事は
無いだろう。
僕自身、中隊が残存兵による潜伏待ち伏せ攻撃を受けた時、未舗装の道路脇に伏...
「祭りはいつ始まるんだろうな?」
ヘミングウェイが言った。
「 ・・・?」
少しずつ黒くなって来る山の輪郭を眺めながらちょうど祭りの事をぼんやりと
考えていた僕は少し驚いて彼の方を見た。
静まり返った僕らの周囲は湿気の多い暑気の中で段々と闇に包まれて行く。
「空に段々雲が多くなって来て、風...
「ごめんなさい、気がつきませんでした><」
部屋の右隅に座っているゆり44が言った。
ゆり44 : ごめんなさい、気がつきませんでした><
会話履歴が更新された。
「こんばんは」
僕はもう一度、今度はどこかでPC画面を見ている誰かに向かって
文字を入力した。
K-02 : こんばんは
...