Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れー116

「おっと ノクトビジョンがいる。」仮眠から覚め、潜入の装備を最終点検をしていた犬飼の手が止まった。今夜は懐中電灯は使えない。彼は右手を棚の上に伸ばし、カメラのレンズのようなものが付いたゴーグルを出してきた。これはイスラエル軍の払い下げで、灯りの少ない暗闇でも見える代物だ。最倶楽部が催すフォーマル・パ...

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刻の流れー115

犬飼は仮眠をとるため、ソファーに横になっていた。今夜は長い夜になるはずだ。眠ろうとしているのだが、やはり犬飼ほどの男でもそう具合よく切り替えができるわけではない。いつもの持ち前の陽気さが無くジメジメした霧の中に引きずり込まれるように感じていた。東京に帰ってきて、6日目の夜である。紐育倶楽部に付いて、...

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刻の流れー114

ドッジとすれ違ってから一つ目の丁字路を左折して、要はUターンする為に一般車をやり過ごそうとしていた。その目の前を左から右へシルバーのRX-7が一台猛スピードで通過していく。「あれ?」要は首をかしげた。運転手が原田に似ていたのだ。スポーツカーにも見覚えがある。店が休みにになって今日で5日、原田にはあっ...

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刻の流れー113

勢いよく飛ばされた鈴木は、ガードレールにたたきつけられた。向こう側は谷底である。鈴木は落ちまいと、本能的にそれにしがみついた。ぶつかった衝撃で胸が痛む。肋骨が折れたのかもしれない。「ぐぁあああ」獣じみた声が漏れる。ドライバーを失ったバイクの方ははバランスを崩して山側にのり上げ、そのまま反対側にUの字...

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時の流れー112

事故現場から、2キロほど走ったドッジの運転席では再び環が座ってハンドルを握っていた。さっきのショックから、大分立ち直った様子だ。「ザザッ・・もう 環らは表六甲に着いたかな」「あはは、有馬でフロに入っとったりして・・・」ノンビリしたアキラと要の会話に「ブレイク」桜が割り込む「ザザザッ お、待ってたぞ。...

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