仮想劇場『秋空に心割りながら』
- カテゴリ: 自作小説
- 2021/10/05 16:02:14
大きなため息で肺が空っぽになったんで、今度はヒツジ雲を見上げながら腹いっぱいに秋の澄んだ空気を吸い込んだ。 僕はそれ以上のものを望まない。それだけで今は充分に満たされている。
学生時代、いつも金が無くって結構無茶なバイトをした。今にして思えばあの頃の僕は後先のない窮屈な人間だったと思う。言い...
大きなため息で肺が空っぽになったんで、今度はヒツジ雲を見上げながら腹いっぱいに秋の澄んだ空気を吸い込んだ。 僕はそれ以上のものを望まない。それだけで今は充分に満たされている。
学生時代、いつも金が無くって結構無茶なバイトをした。今にして思えばあの頃の僕は後先のない窮屈な人間だったと思う。言い...
ここ最近笑っちゃうほど忙しくって、いやむしろもう笑えなくなるくらいにマジで忙しくって。やりたいことはいくらでも尽きないのに、今やれることってほんと限られてるんだなって実感する。
それでもなんとか時間を作ってはネットの世界に潜り込んで、できる限りのチェック作業はやってる。別に取り残されたくないか...
いつのまにかずっと閉じ籠ってなんにもしなくなって、サークルの更新確認が終わるとそこであっさりログアウトしちゃう。仮想生活って言うけどもうすでに仮想する気力が続かない。
不定期にサークルカフェに出没してはぼんやりと空いた天井を眺めるひと時。 ちょうどいい空間と言えば今はここくらいで、一杯の珈琲...
物心ついた頃にはもう気が付いちゃった。僕ってほんとの能無しなんだねって。 運動はできないし学力だって全然足らない。椅子にじっとしてはいられないし、いつもソワソワきょろきょろ。 おしゃべりが止まらなくって口にガムテープ貼られたり、ルールを破るから教室から追い出されちゃったり。
友達は僕のことをオ...
長い長い雨が止んで僕の町にも晴れ間が見えた。 濡れたシャツを窓辺に干しながら遠い空をじっと眺め、考えることは大切な貴女の事。
笑うことは考えるよりもずっと簡単。切なさに身を任せることもやはり簡単。 自分らしく素直に生きることに比べれば存外に簡単だ。
今夜も冷えた体をバスタブに沈めながら思う...