「……存外、意地の悪い奴だったのだな、そなた」
最後の一言、を断ち切られた男が不満そうにつぶやく。
――選ばせて差し上げます。主の言葉の続きを聞いて旅立つのと、私の力を得て、あの子たちの今後を見守るのと。……どちらがいいですか?
ささやくよ...
ぶろぐ、の、ようなもの。
「……存外、意地の悪い奴だったのだな、そなた」
最後の一言、を断ち切られた男が不満そうにつぶやく。
――選ばせて差し上げます。主の言葉の続きを聞いて旅立つのと、私の力を得て、あの子たちの今後を見守るのと。……どちらがいいですか?
ささやくよ...
「ちびちゃん、おいで」
呼びかけられたリンドブルムが、主の枕元に姿を現す。
心配そうに頭をすりよせるリンドブルムの背を撫でながら、女がつぶやく。
「最期のお願いよ。あの人に言葉を届けて。今じゃないわよ?あの人の最期の時にね。…あの人のところへは、たぶん、あの子が連れて行ってくれるわ...
『包装紙』に使われている反故と見比べると、どうやらこちらは下書きらしい。さんざん文章を直した跡が、びっしりだ。
「……詩?」
それにしても、推敲を重ねるたびに意図が解り難くなるくって…
「…というか、恋文のようだな」
肩越しに声がした。
...
「受け取れない、と言うならば、その理由が聞きたい。納得がいくような」
唇の感触で跳ねまわる心臓を射抜くような目が向けられる。この状態で人を納得させるような説明なんて…どうやって組み立てればいい?
「……一言で申し上げれば、私にも背負うべきものがあるから、で...
「この、指輪は…?」
「『妃の指輪』と呼ばれている」
「それは、確かに私が受け取るべきものではありませんね。…ですが、なぜそんな御大層な物がここに?」
妃に贈るものならば、王宮に保管されているはずなのでは?
ぱくん、と軽い音を立てて、箱が閉じられる。
「&hellip...