「・・・玲がうちに住む、だって?!」
それは正直、困る。
別に孝也は玲が嫌いなわけではない。もし嫌いであれば、玲が困っているからといって、婚約者の役など買って出たりはしない。
だが、それも二人が別々に住んでいればの話である。
玲と一緒に住むとなると、事情はおのずと変わってくるというものだ...
「・・・玲がうちに住む、だって?!」
それは正直、困る。
別に孝也は玲が嫌いなわけではない。もし嫌いであれば、玲が困っているからといって、婚約者の役など買って出たりはしない。
だが、それも二人が別々に住んでいればの話である。
玲と一緒に住むとなると、事情はおのずと変わってくるというものだ...
玲を如月邸まで送っていった孝也が、自分の会社に戻ったのは、お昼を少し過ぎた頃だった。
いつものように、秘書の挨拶を背に受けながら自分の部屋に入った孝也は、自分の椅子に座る影を認め、眼光を鋭くする。
その影は、入り口に背を向け座っていたが、孝也が入ってきた気配を感じたのか、ゆっくりと振り返った。...
その翌日。
翼の突然の婚約破棄と尾上財閥の「尾上 美咲」との駆け落ち騒動は、Kisaragiコンツェルン、とくに如月 カヤノの怒りを買うことになった。
「―――楠木!!玲を呼ぶんだ!!」
彼女の第一秘書に、そう言いつけるといつもなら座り心地がいいと絶賛している椅子に、乱暴に腰を落とす。
...
「玲ちゃん・・・。ごめん。」
―――幼馴染の山本 翼と婚約して2年。それが玲の初恋の終止符だった。
今朝、翼に呼び出された玲は、開口一番そう言って頭を下げられたのだ。
翼の話によると、半年前より尾上財閥の社長の妹「尾上 美咲」と付き合っていた翼は、「Kisaragiコンツェルン」の傘下であ...
すこし思考の旅に出ていたのか、綾奈は自分を呼ぶ叶斗の声で我に返った。
「貴、姉貴ってば、聞いてくれている?」
「あ、うん。ゴメン…。―――えっと、何の話だっけ?」
「だから、今週の週末の話だよ。何時ごろに行けばいいのかって話。」
「あ、そ、そうね。―――10時くらいに来てくれ...