Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れー107

桜と環の先を走っていたクラウンが国道2号線西行きで突然ウインカーを出して右折レーンに寄せた。クラウンは一時停止線をかなり越えて止り、前輪をいやに右に切っている。環は相手がUターンしようとしているのに気付いた。「ははっ 奴はUターンして表から回る気や・・・」「どうしてわかるの?」環は自分も急ぐ時は同じ...

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刻の流れー106

国道2号線から神戸駅の西側に有馬街道がある。平野から北に鈴蘭台を越えて直進すれば有名な有馬温泉に至る。これは、神戸市兵庫区の平野から 天王谷を越えて唐櫃(有馬口)へと続く道で、天王谷越えと呼ばれていた。有馬街道の謂れだ。
5年前に要とアキラはこの支線で峠の勝負に挑み、結果、要は事故を起こして大怪我を...

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刻の流れー105

4人は病室を出て今日夜勤の井上医師を尋ね、今からでる事を告げた。
「4人とも気をつけて行けよ。また何かあったらここへ戻って来ればいい。」
井上先生は笑いながらそう言った。要も笑って
「来週は店が開きますからね。ここで遊んでたら原田さんに殴られますよ」
「ははっ そうだったな。まぁいい、ほんとに困った...

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刻の流れー104

桜と要が替え玉として井上医院に泊まりこんでから今日で5日が過ぎようとしていた。一階だったひろみの病室は院長に頼んで、2階の犬飼の病室の隣に移動してもらっていた。窓から襲われるのを防ぐ為だ。犬飼からは病院に朝夕の2回伝言が送られてくる。内容はいつも同じだ。「東京に連絡を入れろ。」病院の受付を通しての伝...

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刻の流れー103

次の日は昨日の雨があがり、それまでの暑さがウソのように気温が下がっていた。もう、秋がそこまで来ているのかもしれない。昨夜は編集長と延々と話しこみ、隠れ家に帰ってきたのは3時をかなりまわっていた。ソファーで毛布に包まってからも、犬飼は『3110』の事が脳裏でちらついて、なかなか眠れない。斎藤と言う男、...

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