Nicotto Town


まぷこのぶろぐ・・・か?


ぶろぐ、の、ようなもの。




【卒業祝い】(1)

 その決心をしてから、毎日カレンダーを睨んでいるような気がする。 人伝に、あの人が学院を去る日が決まった、と聞いた。母が連絡してきた、『道を開ける事ができる日』と同じなのは偶然だろう。だが、その偶然が、私の背中を強く押した。「無事のご卒業、おめでとうございます」
 寮の談話室で、一人寛いでいるところ...

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「契約の龍」(160)‐終

 「で、クリスを三日間徹夜させた原因は?」
 クリスの向こう側にある小さいベッドは、今、空だ。
 「今、おばあちゃんが連れてくる。きれいに洗ってもらってから」
 「クリスに似た美人さんだといいな」
 「…それ、三十回くらい聞いた。美人さんかどうかは定かでないけど、女の子だよ」
 「そり...

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「契約の龍」(159)

 開け放たれたドアから明かりが入ってくるが、外の明るさに慣れた目には薄暗く感じる。寒さの厳しい場所にあるこの家では、窓を全開にしても室内はさして明るくはならないが。
 「いらっしゃい。部屋は判る?」
 窓際で、数人の子どもがテーブルに向って一心に何か書いているのを見守っていたクリスの祖父が顔を上げる...

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「契約の龍」(158)

 『森』と『庭園』との間には、隠された通路がある。
 正確にいえば、通路につながっているのはその二か所だけではない、らしい。だから、不案内な者が足を踏み入れるととんでもない場所に出る、という。迷ってしまった者はそれっきりになるので、真偽のほどは定かではないが。
 とはいえ、何度も同じ場所の往復を繰り...

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「契約の龍」(157)

 クリスの祖母だけあって、クラウディアの人遣いは荒かった。……想像以上に。
 高い所の物を出し入れするのは全部俺の仕事だと決めつけられた――本人に言われるまで気付かなかったが、クラウディアはクリスよりも背が低いので――し、顔を見れば暇かどうか訊ねられた。そして暇だと答えよ...

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