窓を開けっぱなしで寝ていたら、急に涼しくなり、風邪をひいたみたいだ。熱っぽくて、コロナと間違われたら面倒なことになるので、会社を早引けした。帰り道にあるドラッグストアで、綾瀬はるかちゃんのベンザエースを買おうと思ったら、ワゴンに8割引きシールが貼られた3本セットのニコタミンEXが置かれていた。残り一...
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沖人
たんたんたぬきの金玉は～
- カテゴリ： 自作小説
- 2021/08/29 16:54:10
8月も終わりになり、ようやく夏休みをとることができた。木更津工場の不良品出荷から、会社に泊まり込む日が多く、疲れがたまっていた。盆の長雨が終わると、それを取り戻すように暑い日が続き、クーラーの無い部屋に一日中いると、疲れがいつまで経ってもとれなかった。健二は、妙高にある民宿に避難することにした。
妙...
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駅近くにあるファミレスで、ブレンドコーヒーを飲みながら、亜希子を待っていた。ファミレスに入ったのは、学生の時以来だと店内を眺めた。日曜日の昼過ぎの店内は、学生らしい若者や女性客で賑わっていた。香りのしない珈琲を飲むのをやめて、スマホを見ていると、亜希子が向かいのソファー仕立ての椅子に座った。
亜希子...
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木更津にある工場から不良品を出荷してしまった。そのこと自体は、納品直後にユーザーが欠陥に気付き、大きな問題にはならなかったが、原因は、品質管理の担当者が、検査装置の設定を誤った初歩的なケアレスミスだった。
品質管理担当者の必須の知識に、「1件の重大事故が起こる手前には29の軽微な事故があり、またその...
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四国の高松から、東に5000kmほど海沿いに進んだところに、香老（かろう）という名の小さな漁村がある。漁村の前に広がる湾は、岬と小島に囲まれているため、瀬戸内の中でも一年を通して穏やかで、玉藻浦と呼ばれている。
香老の集落は、商店や漁船を修理する鉄工所などを除くと、多くが養殖で生計をたてていた。ハマ...
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