Nicotto Town


しだれ桜❧


 

刻の流れー102

編集長はタバコを出して火をつけると深々と吸い込んだ「いつからか、勝見はアメリカ軍と好を通じるようになっていった。」「ほお それはアメリカが市場を確保しようと航空機産業、自動車産業それに軍需産業と大票田の農業を何とかしようと動いたって事ですかね?」「そうだ。過去にそんな大疑獄があったが、今度も臭いな・...

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刻の流れー101

「でも、さっきは、防衛族の大物が一人残らずって言ったじゃないですか?」犬飼が聞きとがめた。「愛知の某重工会社が世間に隠れて連綿と独自の航空機の設計を続けてきたという。」編集長は、犬飼の質問に答えず、急に話を移した。「・・・ほお それは初耳ですね。」編集長の話が核心に近づいていると信じて、犬飼は文句を...

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刻の流れー100

「おう。昼間の顧客名簿は全員調べたぞ。」「お、その顔つきは、そっちの裏は取れたみたいですね。」「まあな。名前が解ってりゃ、そいつが客かどうか確認するぐらい造作もないからな。」かなり苦労したと思われるのに、そんなことはおくびにも出さず、簡単に言う「で、建物の方はどうだった?」「間取りはどうやら平面図と...

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刻の流れー99

高速を降りた時には、やんでいた雨が、車を降りて出版社のビルに駆け込む頃にはまたポツリポツリと降り出してきた。空を見上げながら犬飼はポケットのフィルムを手で確かめてポンポンと叩き建物に入っていった。
「編集長は会合が終わったらすぐ帰ってくるそうです。」顔見知りの若い編集員がそう言って犬飼を迎えた。横浜...

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刻の流れー98

段々と空が愚図ついてきた。重く垂れ込めた雨雲が横浜を覆っているのが見える。
思ったより道は空いていて、犬飼は8時過ぎには倶楽部の建物が見えるあたりまで来ていた。そこは、横浜でも特に古い町並みが続く一角のようだった。その中にあって、犬飼が初めて目にする倶楽部の建物は、すっかり古ぼけた洋館で回りの景観に...

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