少女は真っ暗な世界で目覚めた
- カテゴリ: 自作小説
- 2025/06/24 13:52:18
長い長い夢から覚めたように思ったが、その夢を思い出すことは出来なかった。朦朧とした記憶の中で少女は絶望していた。
なぜなら、意識はあるのにあたりは闇だったから。あまりに深い闇なので、自分が視力を失っているのかもしれないと怖ろしくなるほど。
そして、手足を動かし立ち上がろうとした時その足がまるで使い物...
長い長い夢から覚めたように思ったが、その夢を思い出すことは出来なかった。朦朧とした記憶の中で少女は絶望していた。
なぜなら、意識はあるのにあたりは闇だったから。あまりに深い闇なので、自分が視力を失っているのかもしれないと怖ろしくなるほど。
そして、手足を動かし立ち上がろうとした時その足がまるで使い物...
赤ら顔の豚や、いやらしい目つきのオオカミやすまし顔のキリン・・・酒場は今夜も飲んだくれたちの臭い息で充満してる。
あたしはこの酒場の看板娘、ピンクバニーと人は呼ぶわ。
最近常連になった一匹オオカミ、ブラッドって名乗ってるけど偽名に決まってる。いつもカウンターの片隅からあたしの姿を目で追ってる。
クー...
あれは雨の夜だった。馬車にぶつかってわたしは脚を怪我して痛みと寒さに震えていた。すると、馬車から王子様が降りてきてわたしを介抱してくれた。わたしは王子様の優しさと温かさにふれながら、日に日に回復していったわ。
でも幸福な日は長くは続かなかった。
イジワルな家来がわたしを見つけてお城から追い出して門を...
旅に出るなら月世界でしょうえ?ロケットに乗らないといけない?そんな機械などなくても太古の昔から月世界に通じる道はあるのですよ。望むなら ほらそこに迎えの使い魔が。もっとも、還ってこられるかはわかりませんがね。え?必要ない?ええ、そうでしょうとも。
眩い光の中に微笑んでいたのは、いつも夢に見たあの少女だった。
「わたしはアスーラ」「アズラーイル、あなたの遠い祖先と出会った日のことを昨日のことのように覚えているわ。わたし達は愛し合ってよく一緒に旅をしたの。でも、人間は瞬きするほどの時間で老いて亡くなってしまう…。だからわたしはアズラ...