Nicotto Town



【小説】限りなく続く音 1


 石垣の連なる細い坂道を、水着の子供が駆け降りてゆく。八枚並べた正方形のタイルに描かれた風景画の中で、手前のタチアオイの隙間を時折誰かが横切ってゆく。朝から強い日差しは窓の外を白く霞ませて、わずかにこぼれた光の破片がこの部屋の床に落ちて息絶えていった。 光の中で何かがきらきらと音もなく舞っている。...

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【小説】どんな夜も


 帰って来るなり明かりもつけずに、きみは床に座り込んだ。 青いカーテン越しに外灯の光が部屋に差す。きみはそれをうるさいと思う。 なにも今日に限った事じゃないでしょ。 頭のどこかで冷めた声。 けれど一度真っ黒になってしまった気持ちは、とても凶悪で、誰か傷つけずにはおれないような気がして、自分でも持て...

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