Nicotto Town ニコッとタウン

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まりの

橋の下の家(3)

 その後の数日を、私はあの祭りの夜の余韻に浸って過ごした。 結局、彼女には何も尋ねることができなかった。彼にも同じであった。私もまた、何も尋ねられることはなかった。私達はただ、草の盃でゆっくりと酒を呑み、彼の吹く草笛の音に耳を傾けていた。冷たい川風が心地よくそよぎ、花火が終わり静寂が訪れる頃、落ち着...

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橋の下の家(2)

 あれは夏祭りの夜だった。 息子夫婦は昨年生まれた孫を連れて、花火を見に行くと言って出かけた。私は独り残ることにした。妻がまだ存命ならば、彼女が私も一緒にと連れ出しただろうが、私に祭りの人混みの中へと足を向ける気力はなかった。私は酒をグラスに注いだ。酒はグラスに半分程しかなく、食料庫を探してみたが、...

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橋の下の家(1)

 月のない夜、私は家の者達が寝静まるのを待って床を抜け出した。昼のうちにこっそりと用意した荷物を背負い、物音を立てぬように家を出る。扉が閉まるかすかな音を、眠りの浅い誰かが耳にしたかもしれなかった。私は暫し扉の前で身動きもせず、家の中の気配に耳を澄ました。 ……&hell...

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限りなく続く音(12)

 車が山を越えると、町並みの向こうに海が見えてきた。 その時、私の胸に広がったのは、やはり郷愁だったのだろう。もう何年、海を見ていなかっただろうか。 私は大学進学を機に家を出た。東京の大学に進んで、一人暮らしを始めた。この故郷の海から離れるために、そして祖父の居た家から離れるために。 草太の命を奪っ...

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限りなく続く音(11)

 目覚めると、白い天井に光が四角い形に映っていた。それが時折揺れる。軽く首を動かすと、開け放した窓辺でカーテンが風に揺れていた。(朝だ) だが、私の部屋ではなかった。ここによく似た部屋を知っている。そこに居たのは、祖父だ。病院だとわかって、私はほっとした。(良かった、助かったんだ) だから草太も助か...

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