Nicotto Town


まぷこのぶろぐ・・・か?


ぶろぐ、の、ようなもの。




夏のデートについて(あるいは七夕小説の続き)

 待ち合わせ場所は人でにぎわっていた。
 うっかりすると人に流されてしまいそうなほど。
 だから、彼女が先に来ていたのに気付けなかった。

「あ、牧田さん」

 彼女の声がしてそちらに顔を向けたが、それでも数秒気付けなかった。
 人波を縫ってこちらに近づいてくる浴衣の女性がいるのに気付き、&hell...

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出遅れた七夕小説(4ねんめの続き)

 ケンゴは自分の名前があまり好きではない。
 特に字面が。
 『どういう字を書くのか?』と訊かれる度に、いったい何を考えてこんな字にしたのか、と親に問い質したくなる。
 だから、公的な書類以外は『ケンゴ』で通している。携帯電話のプロフィールも例外ではない。
 だから、付き合って一年になる彼女も、彼の...

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七夕小説・4ねんめ(1)

 綾の許にその携帯電話が届けられたのは、春先の事だった。
 送り主は綾の現住所を知らないので、それは実家に届けられた。彼は綾がしばらく実家にいるのを知っていたのだ。
 綾が一人になったことも。

 会うのは、年に一度

 別れた時の約束で、そう決められていた。
 彼は律儀にその約束を守りつつけた。今...

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「絨毯の魔法」(2)

「……この絨緞って、もしかしたら……カルヴェス山羊の?」
 夏至祭のために【学院】を離れたアレクが、ドアを開けて足元をまじまじと見つめ、恐る恐るそう口にする。
 『カルヴェス山羊の毛』が平地(した)では『繊維の宝石』と呼ばれる素材の一つだという...

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「絨緞の魔法」(1)

「素朴な疑問があるんだが?」
 ドレスをぎゅうぎゅうに着せ付けられた彼が言った。もちろん着せ付けたのは私なんだけど。試着の時ほどは締め上げてないはずなんだけど。
「何? 答えるのが面倒な質問だったら受け付けないよ?」
 化粧道具をテーブルの上に並べながら、私はそう答えた。舞踏会の開始まであと半時を切...

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