10月期小題「ハロウィン / 和製ハロウィン」
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/10/29 07:56:31
「トリック オア トリート!」
拡声器の声に合わせ、仮装した集団がまるでデモ行進のように通りを歩いていく。
『たしか、うちの田舎にもこんな行事が昔あったわ…』と、喫茶店のでっかい窓越しに行列を見ていたマキエは、思わず子供の頃を思い出してつぶやいた。
すると、向かいでコーヒーを飲んでいた...
思ったこと、感じたことの日記
「トリック オア トリート!」
拡声器の声に合わせ、仮装した集団がまるでデモ行進のように通りを歩いていく。
『たしか、うちの田舎にもこんな行事が昔あったわ…』と、喫茶店のでっかい窓越しに行列を見ていたマキエは、思わず子供の頃を思い出してつぶやいた。
すると、向かいでコーヒーを飲んでいた...
『月を斬れ』
今年二十歳になる次郎が兄と共に父から聞かされてきた言葉である。
関東の七剣家(七流)と呼ばれる卜部(うらべ)家に生まれ、気づいた時には木刀を握っていた次郎が縁戚の塚原家に養子出されて2年になるが、今でも父の言葉の真意は解けないでいた。
そんなある日、日課の大木叩きを終えた次郎は、いつも...
むかし、むかし、あるところにヘンゼルと言う少年がいました。
ヘンゼルは、貧しい木こりのお父さんと二人で暮らしていました。
ある日、お父さんは一人の女性を連れてくると、「新しいお母さんだ」と言いました。
新しいお母さんはとても優しく、ヘンゼルはすぐに好きになりました。
三人で暮らし始めて半年ほど経った...
「この役目は、お主にしか頼めない。すまぬ」
立川主税の『すまぬ』の一語は、これまで共に戦ってきた者に対して真逆の頼みをする苦渋に溢れていた。その姿に、沢忠助は黙ってその場を辞するしかなかった。
立川から預かった手紙と大和屋から受け取った下げ緒を懐に、忠助は城門を出るとすぐに空を見上げた。下を向くとこ...
恵方巻きの季節がくる度、思い出すのは高校時代のトシキと“恵方巻き事件”である。
トシキは、僕と同じくスポーツ推薦で野球部に入ってきた仲間で、二つの特技を持っていた。一つはメチャクチャに足が早い事。もう一つは、小柄で華奢な見た目と違って異常な大食いである事だった。
普通、練習が...