Nicotto Town



自作小説倶楽部11月投稿

『犯罪未然』
いっそ事故に遭って約束を反故にできないかと想像したが、そんなことも無く僕は待ち合わせの喫茶店に到着してしまった。もう引き返すことは出来ない。耳の奥にこびりついた別れを告げた時の彼女の「どうして」と言う声から逃れるように足を踏み出した。がらんとした店内の壁のしみのように小薮が片隅の席に座...

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自作小説倶楽部10月投稿

『路地裏の出来事』手はず通り取引を終え、酒場を出て歩きだしてすぐ路地からぬっと、腕が伸びてきた。俺の胸元に銀色に光るものが押し当てられる。 おいおい、まじかよ。 俺の仕事には予想外のトラブルは付き物だが、今回は本当に驚いた。 「静かにね。騒ぐと怪我では済まないよ」 夜の始まりのような青に墨を...

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自作小説倶楽部9月投稿

『不思議なロミ』
ロミは不思議な存在です。初めて会ったのは私が祖母に引き取られた時で、ロミは玄関で祖母を待っていました。「今日からこの子はロミの妹よ」と、祖母は私を紹介すると、ロミは金色の瞳で私をじっと見つめました。その様子に、祖母はロミが承知したものと受け取ったようですが、ロミはそっと私の耳に口を...

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自作小説倶楽部8月投稿

「綺麗な指輪」
この指輪? おばあちゃんの形見なのよ。そうかなあ。大したものじゃないわ。古いからよく見ると傷もあるし、石だって小さいでしょう。まあね。気に入っているわ。魔除けみたいなものよ。やあねえ。私は特別に運が良いわけじゃないわ。勉強だってこうして頑張っているし。たまたまよ。私はそんなにモテてい...

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自作小説倶楽部7月投稿

【人魚姫】
「あなたは人魚なんでしょう?」突然投げかけられた言葉に呆気に取られて私は少女の顔を見返した。輝くような金髪に海のような青い瞳。少女の方がよっぽどおとぎ話の人魚姫らしかった。小さいから妖精だろうか。いずれにせよ子供の頃から赤毛と縮れ毛に悩まされた私よりすっと綺麗だ。「メイドさんたちがそう言...

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