Nicotto Town


としさんの日記


政治・経済その他医療・法律・社会保障制度・いじめや犯罪についての分析、論評などが中心。
また文芸・文学などの随筆が中心。
また、芸能界・芸能人の話題など取り上げます。
硬い文章もあり、くだけた話題も取り上げたい。
愚痴も多いです。

「山男とサーファー」21

山の天候は、すぐに変化する。
 突風が突然襲ってきたり、温められた青氷から湯気が立っていたりする。天候が良ければ良いなりに、雪崩の危険も増す。氷と岩肌と、周りは変化に富んでいる。
 なるべく楽そうなルートを常に捜しながら、足元のアイゼンをガッチリ、ナンガに食い込ませながら、ピッケルを突き立てて登る。...

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「山男とサーファー」20

十 そこで俺は、ふと目が醒めた。
 ナンガのふところに抱かれて、俺はビバークしていた。
 雲が切れて紺碧の空が見える。 『なんて夢だ』 俺は苦笑いを浮かべて、青氷を削り取り、コンロで氷を溶かして、コッヘルにコーヒーを入れゆっくり飲む。薄い酸素の元では火力が弱まり、低高度での五倍以上の時間をかけて水に...

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「山男とサーファー」19

なるほど、そう云われてみれば、だんだんと暖かくなってきた。汗をかくほど暑いとは思われないが、あいつの云う通り暖かい。 「さあ、ニック、そろそろワックスをかけるぜ」
 俺はお守りを取り出す。あいつのボードの破片。確かにここにある。すると、あの三本のうちの一本はなんなのだ。確かにヘシ折れたあいつのボード...

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「山男とサーファー」18

九 無酸素登攀では七二〇〇㍍が、人間の限界点。長時間は居れない。時間と共に肺に水が溜まる。少しでも氷を溶かして飲まねばならない。血液が濃くなり、肺水腫になれば死の危機さえあった。いずれにせよ、俺は5日間で登頂を極めなければならなかった。
 高所順応ができていても、ほとんど無酸素登攀に近い状況では脳が...

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「山男とサーファー」17

 一八九五年。英国人ママリーによって、初めて八千㍍峰の挑戦が始まった。
 一八九五年は日本の元号では明治二十八年である。
 チョモランマやK2ではなく、14座ある八千㍍級(クラス)の中で、ナンガ・パルバットが、最初に人類の標的にされたというのは、どういった理由があったのであろうか。
 ノーマンコリー...

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