【第6話】天使坂のソロキャン
- カテゴリ: 自作小説
- 2021/05/05 21:29:53
今年の桜は遅いみたいだ。入学式が終わって、新歓コンパをいくつか参加して、それでもまだ校門から校舎に続く坂道の両サイドを固めるソメイヨシノは5分咲きくらい。
俺はまだ大学に入ったばっかりで友達もいないし、履修届も大学SNSや口コミで決めたばっかりって感じで。講義は来週から始まるっていう水曜日の午後、桜...
なんでも思いついたことを書いてます^^
今年の桜は遅いみたいだ。入学式が終わって、新歓コンパをいくつか参加して、それでもまだ校門から校舎に続く坂道の両サイドを固めるソメイヨシノは5分咲きくらい。
俺はまだ大学に入ったばっかりで友達もいないし、履修届も大学SNSや口コミで決めたばっかりって感じで。講義は来週から始まるっていう水曜日の午後、桜...
キャンプ場で初めて過ごす夜、俺はちょっと肌寒さの残るなか、テントに寝袋というスタイルで横になった。手にしたアイフォンの画面には、さっき3人で撮った画像が映し出されている。
ついさっきまで、クマさんのとこでしずかさんと3人、ワイワイ話してたんだけど(クマさんは最初はかなり緊張していたんだけど、だんだ...
「本当にありがとうございました。私はソロキャンプ派なので…忘れ物すると大変だから気を付けてたんですけど、でもドジですね、マッチ忘れるなんて」
火打石とスクレイバーを返しに来た彼女は、ちょっと照れたようにその細身の身体をすこーしだけ揺らせて微笑んでいたんだ。
「いや、アクシデントなんてど...
「で…少年、君はキャンプのどんなとこが好きなんだ?」2品目を手際よく調理しながら、クマさんは俺に話しかけてきた。なんだかさっきまでの印象と違って、ちょっと優し気な雰囲気がしてきていて、やや不思議な感じがしたんだけど。「あ、ボクはテレビでキャンプの特集やってるのを見て、それで『なんだか...
「申し訳なかった! 俺としたことが、これしきの荷物でふらつくなんてほんと情けないっ!」腹の底に響くくらいの大声で、それでいて全く悪びれた様子もなく目の前で大柄の、髭もじゃの男の人が、ガハハと形容するしか他に手はない様子で笑っている。俺は、その彼が倒れ掛かってきたため、ホムセンで買った小さなBBQコン...