Nicotto Town ニコッとタウン

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大きな三日月

あをい夕闇の すそをひいて
大きな三日月が かかつてゐた
それは まるで 銀のしづくのやうに
ひそやかに 空を わたつてゆく風は 梢を やさしくゆすり
わたしたちの むかしのものがたりを
だれもゐない 森の奥へと
そつと はこんで ゆくのだらうかきみのひとみの やさしい光
ぼくのむねの ひとすじのさ...

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Don't Explain

バーボンが喉の奥で火を噴く
窓を叩く冷たい雨の音だけが
この部屋の正しいBGMだった
煙草の煙が天井のシミに吸い込まれていく「理由なんて聞くな」
お前の細い指が、俺のグラスに触れる
濡れた黒髪から滴るしずく
何もかも、説明はいい
言葉にすればするほど、真実が薄れていく夜があるサイドカーのグラスを傾け...

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ライラック・ワイン

冷たい雨が、オフィスを兼ねた安アパートの窓を叩いている。
ネオンの灯りが、割れた硝子のように床へ散らばっていた。
机の上には、埃をかぶったバーボンのボトル。
そして、決して開けることのない、紫色の古いラベルの瓶。「ライラック・ワイン」お前はそう呼んで、悪戯っぽく笑っていたな。
あの春、街外れの古い樹...

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言霊の罠

ある曇った秋の日の暮方である。一人の男が、雨やみを待つやうに、自らの言葉のゆくえを眺めていた。そもそも「言霊」などといふものは、多分に怪しげな、あるいは哀れな、人間の錯覚にすぎない。言葉に魂が宿るのではない。人間が言葉といふ頼りない器に、己の肥大した自尊心や、見窄らしい欲望を無理に詰め込んでいるだけ...

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言霊の告白

これは、ある破滅した男の書き置きである。第一の手記。私の言葉には、昔から不吉な毒が混じっていた。
言霊、という美しい響きを耳にするたび、私は吐き気がする。
私にとって言葉とは、他者を騙し、自分を切り刻むための、冷たい剃刀の刃にすぎなかったからだ。子供の頃から、私は嘘ばかりついて生きてきた。
悲しくも...

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