悲しみの果てに (前編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2021/12/12 00:04:33
この生の悲しみとは 話すことができないということ 言われた、聞かれた言葉は 空気の上の空気でしかないということを 何も私に言わないで 私はあなたを愛しているから 黙っているときにも 私はあなたを呼んでいる セシリア・メイレーリス 1972
日本海から吹き付ける風が窓枠をガタガタと揺らし、雨粒が薄...
この生の悲しみとは 話すことができないということ 言われた、聞かれた言葉は 空気の上の空気でしかないということを 何も私に言わないで 私はあなたを愛しているから 黙っているときにも 私はあなたを呼んでいる セシリア・メイレーリス 1972
日本海から吹き付ける風が窓枠をガタガタと揺らし、雨粒が薄...
飛行機に雷が落ちるのは、珍しいことではない。飛行機自体が雷の発生を促し、アメリカだと飛行機一機あたり、年に一回は雷が落ちる。日本付近は、ヨーロッパ、北米東部と並ぶ雷銀座だ。冬の雷は、夏の数百倍の電荷エネルギーを持ち上向きに放電する。機体に損傷は生じたはずだが、飛行に問題がないように航空機には、二重、...
片桐は、ミーティングルームに向かいながら、腕にはめたブライトリングの文字盤を見た。ミーティングの開始が予定より、1時間遅れていた。待ちかねという顔をしたディスパッチャーが、気象図を示しながら、フライトプランの説明を始めた。
低気圧から伸びる前線が弧を描くようにして、本州にかかろうとしている。18時以...
昨日は、妹と姪っ子と出かける予定だった。妹が車で迎えに来てくれるのかと思っていたら、母に車を借りて家まで来いとのことだ。母に車を貸してと言ったら、買い物に行くかもしれないから、嫌だと言われた。
北見名物「赤いサイロ」、旭川銘菓「きばな」、ROYCE「チョコかけポテトチップ」、函館名物ではないと...
「散歩の達人」の陰謀を阻止しなければいけない。敵は、発行部数5万5千部のメジャー雑誌だ。正面から戦っても勝てない。サラリーマンの姑息な作戦で立ち向かうことにしよう。
ライバル社の企画と真っ向勝負して勝てない時は、ライバル社のコンセプトを根本から否定することが有効だ。散歩の達人のコンセプトは、都...