里の其れがしの実家にはお爺様と母上様、兄者と奥方とその子供が二人暮らしておる。
父上はずいぶん前に身罷られ、お爺様はすでに隠居をなさり今は兄者が家長としてたっている。
少し離れた近所には叔父上も住んでおられる。

其れがしの里は俗に黒猫谷と呼ばれておる。
其れがしの曾ゝ祖父様がご領主様より賜った領地...

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山の神社に参詣に行ったところ境内で夫婦の鬼がガラガラを開いておった。
そう言えば街のあちらこちらに子鬼が立っておったが、その家族のようだ。
節分と言えば鬼追いが普通だがやはりこの街では違うらしい。
人の良さそうな鬼の夫婦が日頃の感謝を込めてビンゴ大会を開いてくれるとか。其れがしもガラガラを回させても...

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今日は改修工事がなされたとの事で遅めに街に出かけて見ると街はすっかり様変わりしておった。
広場が焦げ茶色に統一されて、銀行や交番の看板が「ニコット」より「チョコット」に変わっておった。
街の飾りつけにやたらとハート型やこげ茶や桃色が使われて変にけばけばしい。

何でも二月は「ばれんたいんでー」なる日...

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今日は釣り堀で奇妙なものを釣り上げた。
以前釣り上げたことのある鯱に似ているが何やら襟巻なぞをしてめかしこんでおる。
釣り堀の熊オヤジが
「お、成人式帰りのシャチホコじゃあねぇか！こりゃあ珍しい。こんなの揚げるたぁー、お客さんあんた運がいいね！おめっとさん！」
と、しきりに持ち上げるので思わず持ち帰...

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花を売ったり博打もといゲームで稼いだりで結構小金が貯まったので少し屋敷に手を入れようと思ったところ、里の実家より幾ばくかの仕送りが来た。
甥っ子が学校に上がると言うので、またぞろ其れがしの収集物を売りに出したそうだ。
崖から掘り出した大きな巻貝の形の石を売ったら好事家が高く買ってくれたとか。
「餡の...

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