あおい木蔭のテーブルに ひろげた便箋(びんせん)
夏のひかりが しらかばの葉をまぶしく揺らし
ぼくの万年筆のさきに ひとつの名前を
書かうとしては また風がさらってゆくおまへに宛てた手紙は いつも途中で途切れる
あまりに透きとおつた この高原のひるさがりに
ぼくのさびしさを語る ことば(言葉)が見つ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
あおい木蔭のテーブルに ひろげた便箋(びんせん)
夏のひかりが しらかばの葉をまぶしく揺らし
ぼくの万年筆のさきに ひとつの名前を
書かうとしては また風がさらってゆくおまへに宛てた手紙は いつも途中で途切れる
あまりに透きとおつた この高原のひるさがりに
ぼくのさびしさを語る ことば(言葉)が見つ...
しらかばの葉のすきまから こぼれる光
朝の霧は まだ浅いみどりの草を濡らし
ぼくが歩けば かすかな足おとのうしろから
冷たい風が 追いついては通りすぎてゆくおまへと歩いた あの遠い夏の日のやうに
高原のすずらん(鈴蘭)が ひそかにひらいてゐる
その白い花びらの 小さなかたち(輪郭)のなかに
ぼくは失...
夜ののこりの薄紫(うすむらさき)が ひそかにひらき
東のそらの涯てから 薔薇色のひかりがこぼれる
ぼくはただ 目ざめたばかりの梢のしたに立ち
だれもゐない世界の はじまりを見てゐるおまへのいない朝が またひとつ訪れた
あんなに優しかった夢のなかの言葉は
朝露のやうに 草の葉に光っては消え
ぼくのての...
そこには だれも知らない風が吹いてゐた
木漏れ日の斑(まだら)が 青い苔のうえに
失はれた古い国の言葉を ひとつひとつ
静かに書きつけては また消してゆく見知らぬ名が刻まれた 白い石のならび
それらはみな 遠い海を渡ってきた記憶
いまはもう ねむむ(眠む)ことの寂しさもなく
梢のささやきを 子守唄に...
1僕たちの記憶が しずかに昏(く)れてゆくころ
そこには ひとつの青い湖(みづうみ)があった
風は かすかなさざめきを連れて
失われた季節の お話をくりかえしていたあなたは あんなに小さかった硝子の壺を
その細い指先から そっと放した
そは(其は) あふれるほどの涙をあつめて
ひそかに胸の奥に しま...