Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



泥濘の清算

終わってみれば
手元に残ったのは、湿った領収書と
ひどく汚れた靴の先だけだった雨上がりの熱気が、濡れた路面を燻り
春陽炎がアスファルトを毒々しく這い回る
視界の端で、守り抜いたはずの「事実」が
不格好に歪んで見えたあいつを裏切り、こいつを黙らせ
指先には、まだ泥の混じった不快な感触が張り付いている
...

>> 続きを読む


濁ったプリズム

アスファルトを叩いた夕立が
埃の匂いと一緒に 街を洗い流したはずだっただが 濡れた路面から立ち昇る蒸気は
陽光を浴びて 卑屈なほど美しく揺れる
春陽炎――
雨が残した 最後の悪あがきだ水溜りに映る ネオンの破片
歪んだ極彩色のなかで
俺の輪郭さえも 頼りなく解(ほど)けていく「湿っぽいのは 性に合わ...

>> 続きを読む


歪む境界

ぬるい風が
アスファルトの熱をさらっていく
街の輪郭が 音もなく揺れはじめる春陽炎――
やつは 嘘つきな目撃者のように
真実の形を あいまいに書き換えるバーボンの残響
昨日までの乾いた後悔
それさえも ゆらめく光の向こう側へ
溶けて消えればいいと 願う自分がいる「現実は いつもここにある」
タバコの...

>> 続きを読む


迷宮の造形(プロファイル)

ネオンの光が途切れる裏路地
湿った風が 静かに通り抜ける
泥にまみれた景色の中で
整いすぎた輪郭だけが 異様に浮き上がっている生まれ持ったその完璧さは
この掃き溜めには あまりに不釣り合いだ
闇に紛れようとしても
月の光が 容赦なくその姿を暴き出してしまう
逃げ場のない スポットライトのように壁に背...

>> 続きを読む


硝子の弾丸

神が気まぐれに引いたラインが
俺の顔の上で 完璧な弧を描いた
それは祝福ではなく
装填されたままの 一発の弾丸だった産声(うぶごえ)を上げた瞬間から
鏡という名の 底なし沼が口を開く
女たちはため息を 銃弾のように撃ち込み
男たちは嫉妬を 安物のウィスキーで流し込む美しさは 時に最大の欠陥だ
磨き上...

>> 続きを読む





Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.