Nicotto Town ニコッとタウン

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琥珀色の終止符2

カウンターの端、氷が溶ける音。
それは、この街が吐き出す唯一の溜息だ。
琥珀色の液体に沈めた記憶を、
錆びたキーを叩く音が、無遠慮に呼び戻す。隣に座ったのは、訳ありの沈黙。
誰もが何かを演じ、誰もが何かを失っている。
グラスに残る指紋と、
タイプライターが刻むインクの染み。
どちらがより、真実に近い...

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錆びたタイプライター1

真夜中のデスクで、
錆びついたレミントンが牙を剥く。
叩きつける指先には、
紫煙と安ウイスキーの残り香。一文字打つたび、
「カチリ」と虚無が弾け、
リボンに染み込んだ過去が、
ざらついた紙の上に、血のように滲む。剥がれ落ちた黒い塗装は、
守れなかった約束の破片。
戻らないキャリッジの重みは、
背負い...

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喉にバーボン

硝子(ガラス)の嚥下
肺に流し込んだ安煙草の煙は
昨日ついた嘘と同じ味がした
「なぜ生きるか」などという問いは
湿気ったマッチと一緒に溝に捨てろ
命に意味を求めるのは
答えの出ないパズルに怯えるガキの遊びだ
血が流れているのは、ただポンプが動いているから
引き金を引かないのは、まだ指が動くから
それ...

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モッコウバラに寄せて

風が どこからか運んできた
優しい ひそやかな 光のつぶ
それは 生垣をあふれるように
うす黄色の 小さな波となってあなたは 誰を待っているのか
棘のない しなやかな枝をのばし
午後の しずかな日だまりのなかで
あんなに 無邪気に わらっているあぁ 僕の心の 古い窓辺にも
こんな風に 花が咲いた日が...

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ガラスの独房

午前2時。ウィスキーが胃を焼く。
この街の霧は、誰かの嘘のように重く、湿っている。
俺を閉じ込めているのは、鉄格子じゃない。
鏡の中に住んでいる、もう一人の自分だ。「お前は特別だ」と、そいつが耳元で囁く。
「誰にも理解されない、気高い孤独だ」と。
笑わせるな。
それは誇りじゃなく、ただの錆びついた鍵...

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