Nicotto Town


人に優しく


愛と平和を

おれだけのひみつ

「どこが気持ち悪かったかね」

「おまえの気持ち悪いとこ? 百億個くらいあるでー」

「うん。どこ」

「百億個? いちから教えてほしいか? それとも紙に書いて表作るか?」

「いちから教えてほしい。気持ち悪いんじゃろ。どこが」

「どこがって、そりゃあ」

「うん」

...

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急を要する

「自分の愛するものから離れさせるなんて値打ちのあるものは、この世になんにもありゃしない。しかもそれでいて、僕もやっぱりそこから離れてるんだ、なぜという理由もわからずに」

彼はまたぐったりクッションにもたれた。

「これは一つの事実だし、つまりそれだけのことだ」と、彼は疲れ切った調子でいった...

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何かを愬えるように、直美はぼくを見ている。

ぼくはベッドの縁に手をついて、ビニールに顔を近づけた。

ぼくの身体の動きにつれて、直美の目が動いた。

その直美の目を見つめたまま、ぼくは息をつめて黙り込んでいた。

「あなたはいつも、黙り込んでいるのね」

直美の目が語っていた。...

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最後の駅

ピアノとバイオリンの音にあわせ、テレザは頭をトマーシュの肩にのせ、ダンスのステップを踏んでいた。

霧の中へと二人を運んでいった飛行機の中に二人がいたとき、テレザはこのように頭をもたれかけていた。

今、同じように奇妙な幸福を味わい、あの時と同じ奇妙な悲しみを味わった。

その悲しみは、...

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右腕

「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。

そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝においた。

「ありがとう。」と私は膝を見た。

娘の右腕のあたたかさが膝に伝わった。





ー 『片腕』 川端康成 ー




 

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