幼い頃は
もっていないものに憧れた
体が大きいとか
足が早いとか
何でも知っているとか
掛け値なしに優しいとか
大人は
子どもだった私にとって
憧れの対象だったと思う
少し時が経ち
大人も決して
万能ではないことを知れば
勉強が出来るとか
容姿が美しいだとか...
幼い頃は
もっていないものに憧れた
体が大きいとか
足が早いとか
何でも知っているとか
掛け値なしに優しいとか
大人は
子どもだった私にとって
憧れの対象だったと思う
少し時が経ち
大人も決して
万能ではないことを知れば
勉強が出来るとか
容姿が美しいだとか...
良く晴れた
一日の終わり
不意に窓の外から
水の打つ音が聞こえる
しんとした空気の場への
思いがけない来客は
ひとしきり降った後
風と共に去り
再び音の無い
静かな時を残した
玄関を出て
バス停に向かう
すっかり昇った日が
辺りを照らしている
ツバメが高く飛び
蝶の舞う路地は
夏を控えた花々で
鮮やかに彩られている
温められた空気は
花と土と
草の香りを孕み
少し膨らんで
体の中に夏を伝える
日の光を受けて
白く輝く校舎の下
課外活動だろうか
はつらつとした声が聞こえる
向かっていた机から離れ
青空の下へ踏み出せば
町全体が明るくて
不思議と足取りが軽くなる
日の高い
普段より早めの家路
空の明るさと
人の活気に包まれて
今日一日の疲れを忘れ
...
日付の替わる少し前
最寄り駅から家路を急ぐ
蛙の声が響くのは
雨上がりだからだろうか
星の瞬きが
道しるべの世界は
黒と灰色とで描かれた
水墨画のよう
濃い影をした山裾を
弛むことなく流れる川は
どこから集めてきたのだろう
白い光を蓄えて
急ぐ心を落ち着かせる