亡者の叫びも、欲望の残骸も、すべては背後の闇に置いてきた。
男はコートの襟を立て、紫煙と線香の臭いが混じり合うその場所から、一歩踏み出す。頭上には、冷徹なほどに白い月。
それは真如の光か、あるいはただの冷たい石の塊か。
どちらにせよ、この街の汚れを隠すほど優しくはない。男の影が、濡れたアスファルトの...
亡者の叫びも、欲望の残骸も、すべては背後の闇に置いてきた。
男はコートの襟を立て、紫煙と線香の臭いが混じり合うその場所から、一歩踏み出す。頭上には、冷徹なほどに白い月。
それは真如の光か、あるいはただの冷たい石の塊か。
どちらにせよ、この街の汚れを隠すほど優しくはない。男の影が、濡れたアスファルトの...
袈裟の裏に隠した札束の重みで、お前の慈悲はとっくに窒息死している。
読経の合間に弾く算盤の音が、地獄の沙汰も金次第だと嗤っているな。
お前が説く「救い」は、有効期限の切れた安物の小切手だ。金満という名の餓鬼道に堕ちたカルトの主。
信者の涙を、上等なヴィンテージのワインに変えて飲み干す気分はどうだ?
...
奴らは自分の言葉に価値があると思い込み、法の守護者のような顔で座っている。
だが、その口から溢れ出るのは知恵ではない。
己が消えていく恐怖を埋めるための、救いようのない虚妄の残骸だ。「お前のために言っている」という、反吐の出るような甘い罠。
それは慈悲の衣を着た五欲の亡者だ。
若者の時間を、自分の存...
したり顔で語る奴の背後に、餓鬼の影を見た。
自分の正しさを喰らわなければ生きていけない、哀れな老いぼれの空腹だ。
経験という名の弾丸を撃ち尽くし、空になったシリンダーを誇らしげに見せつける。
だが、その銃口から漂うのは、救いようのない自尊心の焦げた臭いだけだ。この世は五蘊皆空。
握りしめた栄光も、誰...
年を重ね、積み上げた経験という名の我執。
奴らはそれを上等な琥珀色の酒だと信じ、若者のグラスに勝手に注ぎ込む。
だが、その味は無明の闇よりなお苦く、ただの「迷惑」という名の毒に過ぎない。「俺の教えを聴け」というそのしたり顔。
それは真理から最も遠い場所にある慢心の仮面だ。
己の過去を聖書(バイブル)...