Nicotto Town ニコッとタウン

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震える指、透明な遺言

列車の隅、あいつのコートのポケットから
滑り落ちたのは、汚れた一通の封筒だった
表書きには、俺の名が――不器用な、あいつらしい筆跡で。「これを読んでいるなら、あなたはきっと独りね」
最初の一行で、視界が歪んだ。
音を立てて崩れ落ちる。『自分を責めないで。あなたが背負った闇も、
ジタンの煙の匂いも、私...

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名もなき花束を

ガタつく車輪が、心臓の鼓動と重なる
冷え切った座席の横、そこには
あいつが好きだった、安物のカサブランカが揺れている「俺に関わるな」
突き放したあの日、あいつが見せた無理な笑顔
その裏側にあった孤独を、俺はジタンの煙の匂いで塗り潰した
守るために離れたはずが、失うことでしか守れなかった窓の外、夜明け...

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午前3時の終着点

誰もいない、いや、私以外は。
通路の絨毯は汚れ、薄明かりが乗客の孤独を照らす。
午前3時。時計は止まっているわけではないが、
この場所では時間が意味をなさなかった。窓に張り付いた黒い夜。
雨が描く流線型の迷路、
私の行き先を尋ねても、鉄の車輪は黙って刻むだけだ。バー・カウンターに瓶の影。
安いバーボ...

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終着駅のない夜行列車

重いディーゼルが、闇を噛み砕く音がする
一列に並んだ窓、そこには
それぞれの絶望が、カーテンの隙間に隠れている俺の前のテーブルには、冷え切ったコーヒー
紙コップの縁に残った、苦いだけの沈黙
隣の席は空席だ
そこに座るはずだった奴は、昨日、煙のように消えた車窓の外は、名前も知らない街の灯火
あれは誰か...

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窓の向こう側_夜行列車

お疲れ様でございます、旅人の方。
グラスの底に残る、苦い琥珀色の時間を
どうかそのまま、窓の外へ放り投げてください。
流れる街灯の列は、
誰かが書き置きを忘れた、とり留めのない点字のようです。鉄の軋む音が、あなたの耳元で囁いています。
「ここから先は、名前も過去も必要ございません」と。
シーツの皺(...

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