風のひかる うららかな昼
牧場のすみに 小さき碧(あお)のひと群れ
あかるい空のしたで ひっそりと
それは誰も知らぬ ちいさな夢の形をしていた私は手折ることをためらふ
その青が あまりに淡く あまりに脆く
時を止めてしまふやうに思はれたから
ちぎれた雲の ひとかけらみたいに貴方は言つた 「忘れないで...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
風のひかる うららかな昼
牧場のすみに 小さき碧(あお)のひと群れ
あかるい空のしたで ひっそりと
それは誰も知らぬ ちいさな夢の形をしていた私は手折ることをためらふ
その青が あまりに淡く あまりに脆く
時を止めてしまふやうに思はれたから
ちぎれた雲の ひとかけらみたいに貴方は言つた 「忘れないで...
男が立ち上がり、俺の肩を掴もうとしたその時、奴の懐から一通の封筒が滑り落ちた。湿ったアスファルトの上で、中身が露わになる。それは、奴が先ほどまで「不浄な悪」と断じていた組織の、裏印が入った分厚い札束だった。「これは……違う、これは調査の、その…&hellip...
雨の舗道に、安い正義が溢れている。
奴らは高い演台に立ち、抜き身の言葉を振りかぶる。
その切っ先が、誰の血を求めるのかも知らずに。「正解」という名の、錆びついたドス。
それを大上段に構え、振り下ろす。
返り血を浴びぬよう、安全な画面の裏側で。俺はバーボンを口に含み、
その茶番を、ただの雑音として飲み...
Ⅰ窓のそとは うすもも色のゆうぐれ
ひくく ひくく 風が鳴ってゐる
ぼくは 古い手帳を閉じて
あをざめた星が ともるのを待っているしづかな部屋の かげのなかで
眠り姫は けふもわらはない
その睫毛(まつげ)に ひかりがふれても
その唇(くちびる)に あしたの予感がゆれても姫はただ 失はれたものの名前...
五月の風は 塩の香りをはこんで
坂道をのぼり この静かな丘にたどりつく
白い十字架のむこう ひろがる港には
名も知らぬ船たちが わかれの汽笛をひびかせ
空の青に かすかな亀裂をのこしていくわたしは 錆びた鉄柵に手をかけ
遠い異国の名が刻まれた 石の肌をみつめる
かつてここで 誰かが抱いた郷愁(ノスタ...