五郎は珈琲を飲みながら、蛍の横顔を見た。
「蛍さん、東京にいたことあるんですね。」
「少しの間だけ。旭川の看護学校に通っていた頃に付き合っていた男が、東京の大学に進学したの。それで、看護学校を卒業して東京の病院に就職したの。でもね、働き始めたばかりで余裕がなくて、あまり会えなかったから、他の人に目移...
五郎は珈琲を飲みながら、蛍の横顔を見た。
「蛍さん、東京にいたことあるんですね。」
「少しの間だけ。旭川の看護学校に通っていた頃に付き合っていた男が、東京の大学に進学したの。それで、看護学校を卒業して東京の病院に就職したの。でもね、働き始めたばかりで余裕がなくて、あまり会えなかったから、他の人に目移...
帯広空港に降り立ち、レンタカーを借りた。高速道路は、山あいの足寄町で終わり、陸別町へとつづく国道の脇には、除雪車に押された雪が山のようになっていた。路面が圧雪になると、東京に引き返したくなってきた。はじめての雪道の運転で、怖くてスピードが出せない。後ろの車がイライラしているのが伝わってくるが、雪山...
朝6時に目が覚めてしまった。若い頃は昼まで寝ていられたのに。掃除をして、クロワッサンを食べたらすることが無くなった。テレビを見ようと思ったら、清野若菜(今日から俺は!の理子ちゃん)が出ていたので、Eテレにチャンネルを合わせた。
1月1日に放送された「eうた♪ココロの大冒険」の再放送。みんなの歌など...
この日記を読んで、デジャブーを感じるかもしれない。それは、気のせい。
昨夜、クロワッサンの生地の仕込みをした。今朝6時に目覚めたので、7時前には焼きあがった。街のパン屋になった気分だ。
クロワッサンづくりは女性に向いている。普通のパンづくりは力が必要だが、クロワッサンは、叩きつけたり、こねたりし...
大晦日まで、会社の待機要員だったので、元旦に実家に向かった。行きは新幹線と瀬戸大橋線で6時間かけてゆっくり帰った。到着の時間を母に告げていたが、玄関には鍵がかかり、呼び鈴を鳴らしても反応がない。実家を出てから、人生の放浪を続けているので、いつの間にか勘当されていたのかもしれない。
裏口が開いていた...