自作小説倶楽部7月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2026/07/31 23:05:26
「異世界帰り」そこは巨大な世界樹によって支えられた世界だった。 もとは地球のような大地が存在したのかすらわからない。 隆起する地面は世界樹の根であり、緑の空は枝と葉で出来ていた。 ノクシと名乗る人々が世界樹を崇め、世話をし、その恵みによって生きていた。 緑色の髪に、青白い肌、最初は驚いて気味...
「異世界帰り」そこは巨大な世界樹によって支えられた世界だった。 もとは地球のような大地が存在したのかすらわからない。 隆起する地面は世界樹の根であり、緑の空は枝と葉で出来ていた。 ノクシと名乗る人々が世界樹を崇め、世話をし、その恵みによって生きていた。 緑色の髪に、青白い肌、最初は驚いて気味...
『猫の命』長い休暇で勘が鈍った。と気が付いたのは突然、伸びてきた手に身体を掴まれた時だ。俺は「うなあ、」と情けない声を上げて慌てて振り払おうとしたが、がっしりと俺を拘束する両手はびくともしない。 「よおっし! 捕まえたよ」 はて、おかしい。俺は木の上の猫じゃなかったはずなんだが、 12年程まえ...
『探偵の探し物』
粗末な扉は拒絶の意思によって音を立てて閉じられた。俺は不意を突かれてその場に立ち尽くしてしまった。ややあって突っ立っていても相手の警戒を解くことは出来ないと気付く。丘の上の掘っ建て小屋の中で男が動物園の虎のように行ったり来たりしている気配があった。仕方なしにやって来た道を戻る。遠く...
『生き写し』
「申し訳ありません。ドクターメルクは緊急手術中です。終了時刻は未定です。死亡診断書の作成はそれまでお待ちください」痩せた不愛想な看護師はちっとも申し訳なさそうに俺に告げる。妻が横たわる死体安置所の守り人のように冷ややかな対応だ。病院の受付には暖かな昼の光が差し込んでいたが俺はうら寒さを...
『殺意の微笑』
かつて高名な建築家が設計したという建物は午前の清々しい陽光を高窓から取り込み、集まった人々を照らしていた。ベール越しに周囲を伺いながら花嫁はしずしずと長椅子の間の通路を進む。招待客は花婿の関係者ばかりだ。好奇心もあらわに花嫁を値踏みする者、無関心、敵意。花嫁を迎えるために神父を背に満...
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