ラサーン・ローランド・カーク
- 2013/12/30 23:09:04
以前もこういちさんが取り上げてくれました。
今回は、spaceways INCを調べてたら、田中 啓文さんのページにたどりついて盲目の魔人カーク熱が再燃した、
ご存じVolunteered Slavery 客席に行くは最後に椅子を壊すわで大奮闘
http://www.youtube.com/watch?v=jqXYAcVPDD4
マッコイ、スタンリークラークの演奏 最後にチックのあぜんとした顔が笑える
http://www.youtube.com/watch?v=S0JJmwq7KXQ
もともとテナー1本でアダムスとかハンディあたりは軽くぶっとばせるカーク様
http://www.youtube.com/watch?v=Liy6TQ8FLR4
以下、田中 啓文さんの文をどうぞ!
カークは私が死ぬほど好きな黒人サックス奏者だが、名前を見てもわかるとおり、ただものではない。ジャズマンの凄さ、偉大さを見極める場合、私は「化け物かどうか」という基準を採用している。具体的にいうと、ステージに現れたとき、「うわっ、出たーっ!」という感じを受けるかどうかである。CDでいうと、その人がソロの一音目を吹いた瞬間に、「どわーっ、怨霊退散怨霊退散」という気持ちになるかどうかである。ローランド・カークは、いつも私をそんなパニック状態に陥れてくれる。
カークは盲目である。幼少時に看護婦が誤って薬品を目に垂らしてしまったことが原因といわれている。夜の闇より暗いサングラスをつねにかけており、服装も黒づくめ、共演者に手をひかれてのっそりと舞台中央に登場し、マイクの位置を念入りに確かめてからおもむろにサックスを口にくわえる。ただし、一本ではない。三本のサックスを同時に吹くのだ。ぐわばっ、と、鰐のように、三本のサックスのマウスピースを一度にくわえ、いや、くわえるというより頬張るというほうが正しい。三本のサックスのマウスピースを頬張ると、演奏がはじまる。サックス奏者は、アンブシャーということを常々気にしなければならない。つまり、マウスピースのくわえかたである。下唇はこうやって巻き込み、上の歯はどのぐらいの位置にして、唇のまわりに筋肉はこれぐらいの強さにして……そうやって「アンブシャーを固定する」ことが上達の早道であり、これはとくにクラシックの分野ではうるさくいわれる。しかし、笑ってしまうではないか。このおっさん(カーク)は、三つのマウスピースを一度に口に入れる。サックスのマウスピースというのはけっこうでっかい。一つでも、「お口いっぱい」という感じになる。それを、いきなり三つである。クラブの合宿で「食事時間あと五分」といわれた中学三年生が、残りの肉を全部口に押し込んだ……という状態に近い。アンブシャーの固定もくそもないのである。そして、カークは、三本のサックスでハーモニーを奏でる。しかも、即興的に、である。ジャズというのは即興演奏が主体であるからして、演奏の大半は、事前に何も決まっていないアドリブで行われるわけだが、カークは即興的なメロディーをハモってしまうのである。頭がおかしいとしかいいようがない。
カークの凄いところは、まだまだある。循環呼吸(サーキュラー・ブリージング)というのをご存じだろうか。管楽器というのは、途中で息継ぎをしなくては吹けない。これは当たり前である。ところが、循環呼吸という、息継ぎを全くしないで、途切れずに演奏する方法があるのである。ローランド・カークは循環呼吸の達人である。何しろ、一曲まるまるを息継ぎなしで演奏したりする。しかも、それはカーネイがやるような「一つの音を延々と」ではなく、アドリブでも何でも自在なのである。三本くわえたときも、フルートでも、クラリネットでも、リコーダーでも、とにかくのべつまくなしに循環呼吸を行っている。何しろ、本来はブレスが入るべきところで音が途切れないものだから、聞いているとだんだん息苦しくなってくるほどである。記者に「どうやったらあんなに息継ぎせずに吹けるのですか」と問われたとき、カーク本人は「耳で息を吸い込むのさ」と答えている(本気にしていた人もいた)。
カークの凄いところは、まだまだまだある。フルートを吹きながら同時に歌を歌う。フルートを吹きながら、同時に、鼻で別の横笛を吹き、ハモる。見ていると、鼻汁とか涎が入りまじっているようで、とてもじゃないがBGMとして聞き流せるようなものではない。今時の洗練された音楽の対極にあるえげつないまでの「生々しさ」がそこにある。
ロイドの間違いです、すんません。
微妙に違ってたかな?(ごめんね)
じゅんた
2009/03/06 15:25一気に真っ黒なカークですね。
目が不自由だったんですね、確かにサングラス姿しかみたことない。
洗練されてない、ノンブレス(循環奏法)かっこええ。
カークはミンガスのカーネギーホールライブでは、G・アダムス、J・ハンディ、C・マクファーソン、H・バネットのサックス5人での競演でユーモアのあるすげー演奏をしていますね、有名フレーズを吹きまくり至上の愛パート1のテーマまで吹いている。
では、カーク裏話。
マイルスに自分のバンドにいたK・ジャレット、J・ディジョネットを次々に引き抜かれて怒ったカークはマイルスに電話した。
カーク 「俺のバンドのメンバーを引き抜くんじゃねーよ」
マイルス 「安心しな、お前は引きぬかねーよ」
プロフは田中啓文さんの引用だよ
マイルスが言ったのは、チャールズロイドだよ。間違って書いたかな!?
おひさしぶりです。
ローランドカーク素敵ですねえ~
ここでローランドカークについて、私からご意見を言わせていただきます。
プロフィールについて、じゅんさんが大変詳しいコメントを載せていtだきました。
正直このコメントを見ると、盲目で一度に口に3本のホーンをくわえて同時に演奏するなんて
曲芸師の演奏を思い描くかもしれません。
しかしそれは、間違いだと私は断言します。
カーク氏は、コメントにあるように生まれたときから盲目でした、当然ですが健常者には計り知れない
ような苦労をされて、演奏技術を身につけられたのは間違いの無いことでしょう。
しかし彼の演奏を聴くと、そんな悲壮感は微塵も感じられない。逆に目が不自由なことで、常人では
考えられないようにな、画期的な演奏方法を独自に身に付けたことにより、彼独自の音楽が花開いたのでしょう。
じゅんたさんの紹介してくれた、特に2本目演奏を観てください。仲間たちと、グルーブ感がいったいになり
非常に楽しそうに演奏してるのがわかります。ローランドカークは、音楽の一分野を確立した人で今後もう
こんな天才は現われないでしょう。
じゅんたさんのコメントでしたっけ?メンバーをマイルスに抜かれときに、「お前にメンバーを抜かれても
お前のバンドには絶対入らないよ!」と言ってのけたとか、、、、実に”硬派で男気”のある立派なミュージシャンです。
こういった素晴らしい演奏者に、もっともっと日が当たるような世の中にな
って欲しいものです。