活火山
- 2015/06/01 09:53:42
小社会 高知新聞
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=338644&nwIW=1&nwVt=knd
2015年05月31日08時03分
サンテグジュペリの「星の王子さま」の中に、王子の故郷の星には活火山が二つあり朝ご飯を温めるのに便利だ、とある。なるほど挿絵を見ると、火口にフライパンとポットがそれぞれ載せてあり湯気を立てている。
王子は星を出て旅に出る前、火口に棒を差し込んできれいにすす掃除をした。こうしておけば火山は静かに規則正しく燃えて噴火はしない。噴火は暖炉の煙突にすすがたまって起きる火事と同じようなものだから、と。
メルヘンならほほ笑ましい物語となるが、現実の噴火はそうはいかない。鹿児島県の口永良部島(くちのえらぶじま)・新岳の噴火に、自然の力のすさまじさをあらためて思い知る。地球上には活火山が約1500あり、そのうち110もが日本に集中している。火山の下でどう暮らしていくのか。
島民が見せた迅速な避難は一つの「模範解答」だろう。噴火はいつでもあり得る。だから非常食や着替えをまとめておく。学校で児童は普段から教室を移動する際、ヘルメットを持ち歩く。教諭らも避難しやすいように車を止めていた。
火砕流が集落を直撃しなかった幸運もあるが、事前の小さな準備の積み重ねが生きた。火口のすす掃除はできない人間にも命を守るすべはある。
〈一番大切なことは、目に見えない〉は星の王子さまの有名な言葉。目には見えない心の備えを日々培う。南海トラフ巨大地震に向けて、私たち一人一人に求められることだ。
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口永良部島はもちろん、
昨年の御嶽山の噴火、箱根をはじめ私たちの身近でも、
火山噴火の警戒が強まっています。
『星の王子さま』の火山の話は、メルヘンのおとぎばなしではなく、
災害や戦争といった、
被害をださないための、心構えを言っているのです。