Nicotto Town


ストーリーテーラーの集まる小さなカフェ

違反行為を見つけたら?
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とるりくるり

投稿者:ケニー


ぴき、と庭に置いてある4インチもの厚さがある木のテーブルにひびが入った音を聞いた午後に時間がそこでとまってしまった。



さあ、どうしよう?



通りへ出てみると、ランニングシューズに短パンをはいて走っていたであろう女は空中で停止して、公園のバスケットコートではリバウンドをとろうする姿勢のまま空中でとまっている男もいる、空には紫色の鳥が羽ばたいた状態でとまり、スプリンクラーの水も空中で固まっている。
触るとやっぱり生ぬるい公園の水だ。


意外と空中にあるものって多いんだな、なんてことを思いながら、通りを歩いた。



ああ、たしか明日、タイムワーナーへケーブル代の支払いをしなければいけないな、そして、そのあとに来週のアップステート行きの列車時間を調べようと考えて、しかし、このまま時がとまったままならばはたしてあしたは来るのだろうか?と考えた。



今、なにかおかしいと思う。
さっきまで時間が動いていた、確かに動いていたと思ったが、それは本当だろうか?


本当に時間はとまっている状態ではなく、動いていたのだろうか?
ランニングしている女は本当に確かにさっきまで走っていたのだろうか?
空中にとまったバスケットボールは確かにシュートされてリングにはじかれ落ちていく途中だったのだろうか?


さっきまで本当に時間が動いていたのだ、世界が確かに息づいていたのだ、ということの確信が少し曖昧に思えるんだ。

本当は、ほんとうは時間はいつも止まっているものなのではないか?
いつもとめどなく流れ動いているものだという確証なんてどこにあるんだろう?

ほんとうはそうじゃないのに、おれが勝手に作り上げたゆめみたいなことなのではないだろうか?


少し、あしもとがゆらりとゆれて、今まで確かにあった地面が不確かなものになるような、そんな感覚だけがあるのだ。



横断歩道を渡る。


角にあるタイフードレストランを左に曲がる。



ふと気がつくと、君が目の前でけらけら笑っていた。
おれをからかっていたのかよ?
おれは彼女の冗談に少し腹を立てたが、屈託のない笑顔に、まあいいか、と笑った。



まったくいたずらがすぎる彼女も考えものだ。

アバター
2024/06/29 21:35
分析心理学の創設者カール・グスタフ・ユングが将来を決める辺りの時に何もしないなに木のテーブルが真っ二つに割れたそうだよ。
アバター
2024/02/26 22:57
この前見た、「パラレルー多次元世界ー」という映画で、時間差を利用する描写があったのを思い出しました♪

そういえばマトリックスの世界観にも通用するものがありますねw実は今自分がいる現実は現実世界じゃなく、作られた世界だった・・・とか。
アバター
2024/02/26 09:06
ラスト、静止している彼女にキスしたらまた全てが動き出す…とかだとベタ過ぎるかな^^
しかし、この特技(いたずら)は使いようによってはとても便利ですね!



管理人
ケニー
副管理人
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参加
受付中
(今すぐ参加可能)
公開
全公開
カフェの利用
朝10時~夜24時
カテゴリ
自作小説
メンバー数
12人/最大100人
設立日
2024年02月18日

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