記憶を消してもう一度
- 2024/02/27 11:28:27
投稿者:せんちゃん
記憶を消してもう一度まっさらな状態でその世界を楽しみたい。
「猫を抱いて象と泳ぐ」はわたしにとってそんな一冊だ。
著者は小川洋子。
真に才能あるスケーターや歌手は「楽々と」難易度の高いジャンプや難曲をこなし、観ているこちら側はその技術の凄さを感じるより先にまるで自分もいっしょに跳んでいるように、または歌っているように感じることはないだろうか。
小川洋子はその小説世界を紡ぐとき、そんなスケーターや歌手のような離れ業を息をするように自然にやってのけている感じがする。その小説世界は日常と地続きでありながら到着点は遥かに予想を超えてくる。
「猫を抱いて象と泳ぐ」の主人公は(彼女の描く他の小説の主人公と同様に)どこか歪で孤独だ。わくわくするような展開の中にも哀しみと怖さがいつも漂っている。その感覚は日本的な湿り気のあるものでなく、欧州の乾いた冷たい石畳や薄暗い路地のそれだ。
このタイトルの意味は?どんな小説なんだろう?
そんなふうに、これからこの本を手に取る人が本当に羨ましい。
文芸評論やっていただきたいです
この本読みます( ´w`)❤