52階にて
- 2024/03/22 23:55:12
床一面に散らばったガラスの上に頭蓋骨が置かれていた。
頭蓋骨にはマジックで印が付けられている。
深い層から発掘された大昔の人間の頭蓋骨のようで茶色く変色し、頭蓋に大きな穴が空いている。
落石などの事故か、弓矢や槍で殺害されて亡くなったのだろうか。
その穴の周辺、そして奥歯の辺りやあごにマジックで→や考古学で使用されるのであろう特殊な記号が書かれているのだ。
部屋は白い壁でフローリング、とても広く、大きくきれいに磨かれて透き通った窓が一方の壁全てにあり、眼下にはセントラルパークが広がっている。
ゆるやかな冬の午後の光が部屋の中のおびただしい量のガラスをキラキラと輝かせている。
ドアを開けて、部屋に入ったが、床にびっしりと乱雑に散らばったガラスの破片のためにはだしでは一歩も進めない。
部屋の真ん中に、その頭蓋骨はあり、暗くくぼんだその眼窩は虚空を見つめていた。
彼が私を呼んだのか、私が彼を求めたのか、そのどちらも、なのか。
とにかく、私はこのビルに入り、フロントでこの部屋のナンバーを告げ、高速エレベーターで昇ってこの部屋へ来ている。
携帯電話が鳴り、出ると電話の向こう側から彼の声が聞こえてきた。
私には理解の出来ない言語で何かをしっかりとしたとても低い声で話している。
私はあなたの言葉が理解出来ない。と答える。
すると、唐突にずるりと大きく一面の全ての壁紙が落ち剥がれ、白い壁紙の中に隠されていた巨大なアブストラクトペインティングが現れた。
強く激しい調子で描かれた不穏な凶暴性を感じさせる破壊的な絵だ。
私のいるビルディングはマンハッタンのコロンバスサークルにあり、私のそのビルの52階の一室にいることは確かなのだが、しかし、もうすでにビルディングはそこに無く、私一人がとてもとても高い空の中に取り残されていた。
宙を掻く足下には確かで堅い床も何もなく、ただ青い空が広がり、足下に広がるマンハッタンの風景に圧倒され、強い風に怯えていた。
私はひとりとてもとても高い空に取り残されてしまった。
と言うのは、このカフェに集まってるのは一つ一つの本で、通常本を読んで何かの感想を抱いても、その感想に作者がお返事する機会はほとんどないと思うので、その実際の本を読んだときのリアルに近い状態にしようと思ったのですね(^-^)
ただ、まあ、たまにはいいか、とコメントにお返事します〜。
せんちゃん、
そうだね〜。おれの実体験も含まれてます〜(^-^)
ヨネさん、
嫌な夢見ちゃったら、本当にごめんなさい。。!
すごく桁外れのお金持ちのお家に行くこともあるのですが、マンハッタンの高層ビルの上階に住んでいても、やはり、そこには庶民と変わらない人間の生活があって、人間の命というのはあくまでも不安定なもので、だからこそ美しく、お金や地位さえあれば完全に確かなものになるわけではないのだな〜。。と思ったことが発端で、この小説を書いたのです〜。
今日そんな感じの夢を見そうです。
ケニーさんの実体験も風景に潜んでいるのかな?^^