うさ頭巾
- 2024/04/08 15:25:20
赤ら顔の豚や、いやらしい目つきのオオカミやすまし顔のキリン・・・
酒場は今夜も飲んだくれたちの臭い息で充満してる。
あたしはこの酒場の看板娘、ピンクバニーと人は呼ぶわ。
最近常連になった一匹オオカミ、ブラッドって名乗ってるけど偽名に決まってる。
いつもカウンターの片隅からあたしの姿を目で追ってる。
クールでハンサムと同僚のアンバーは言うけれど、猫族とオオカミ族がうまくいくわけない。あたしだって、絶対無理。
仕事が終わって、裏口から出たあたしは思い切り黒い毛皮にぶつかった。
あいつだ、黒いオオカミのブラッド。
「夜中なのに、その黒い毛皮でドアの前に突っ立ってないでよ!危ないじゃない!」
「それは失礼したね、ピンクバニー」
「いや、貴族のお嬢様アンリエットさんと呼ぼうか」
「!?」「あたしが貴族の娘?あはは、何言ってるのよ」
「それは失礼したね。今は怪盗うさ頭巾として活躍、盗んだ金品は貧しい者や重い病で苦しむ家に投げ入れているそうじゃないか」
「面白いことを言うわね、何か証拠でもあるの?」
「昨夜、年老いて脚も不自由な老婆の家に忍んで行っただろう。怯える老婆の枕元に美しい指輪を置いてね。」
「老婆は盗人の施しなんか受けるもんか!と言ったからだ。君はただ1つ残していた自分の家の紋章入りの指輪を自分の指から外して老婆に…」
「見てきたように言わないで!知らないわ!」
「見ていたんだよ。その老婆はこんな風に薄汚れた寝間着を着ていなかったかい?」彼は女物の灰色の寝間着を懐から取り出した。
「…そう、俺が老婆に変装して待っていたんだよ。身よりのない老婆が歩けず難儀して死にそうだって近所に噂を広めてね。」
「…馬鹿ね、あたし。全然気づかなかったわ。老婆の声音まで完璧だったもの」
「で、どうするの?警察に突き出す?」
「ウサギとオオカミのコンビも悪くないんじゃないかって俺は思ってるんだけど?」
彼は悪戯そうにウインクした。
馬鹿じゃないの。
ウサギ族とオオカミ族なんて最悪の相性よ。絶対。
あたしは駆けだした。
…でも、彼が追ってくるのはわかっていた。
フリマでゲットしたアイテムでコーデするうちに浮かんだパロディです。
赤ずきんちゃんってなかなかダークな話だと思うのでもっとスイートにしましたw
いろんな「族」や魔法とか、不思議な街とかが出てきそうで、きっと面白い長編冒険ファンタジー小説になりそうな印象だな〜。
時々、その「赤ずきんちゃん」とかの古典のパロディも入っててさ。