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カバとパグ

投稿者:ケニー

住宅地の公園にカバと犬がいた。

そこは東京よりも小さいけれど、田舎というほどでもない地方都市の中心部から、車で40分ほどいったところにある新興住宅地で、穏やかな火曜日の昼間だ。

カバはもうとても大きくて、体長2メートル以上はあった。
犬はパグで、白と黒のぶち模様だった。


ねえねえ、君ってさ、大きいじゃん?
だから、こんなところにいたら、きっと人間たちが大騒ぎすると思うよ?

パグが言った。


うーーーーん、そうかなあ。。
でもさ、ずっとぼく、川の中にいただろ?
橋の下にかくれてさ。
もう、ちょっときゅうくつでおもてに出てあるきたくなっちゃったんだよ。
ともだちと言ったらきみしかいないしさ。

カバが言った。


そんなことを話していると、やっぱり、公園に遊びに来た幼い女の子を乳母車に乗せてきた若いお母さんに見つかってしまった。
お母さんはびっくりして、

カバ。。

と言った。


カバはあわてて、言った。

あの、いや、ぼく、ちがうんだ。。
その、ぼく、、


でも、もちろん、カバの言葉が人間にわかるわけがない。
カバはちゃんと話せなかったこと、そして、何より、人間が自分を見てとてもびっくりしていることに、すごくすごく恥ずかしくなって、ちょっと浮いてしまった。

ふわふわ。

カバは少し、土の地面から20センチくらい浮かんで、困った顔をしてパグに言った。

ねえ、ぼく、うかんじゃったよぅ。。

いいじゃないか、そのまま、空を飛んだら、きっとあの橋の下より自由だよ?

それもそうか!

カバは犬の言葉にはげまされ、そのまま、空に浮かんでいくことにした。

ふわふわとカバが浮かび始めると、パグはあわてて近くにあったシーソーに飛び乗って、そこから、カバの背中に飛び乗った。

カバはパグを乗せて、ふわふわと空へ浮かんでいく。

若いお母さんと乳母車に乗った小さな女の子は、口をぽかーんと開けて、カバとパグが空に浮かんでいく様子を見ていた。
あまりのできごとに声も出ないほどおどろいてるみたいだ。


。。。。


カバとパグは韓国を超えて、大連に着いた。
のどが乾いていたし、おなかも減ったから、二人は大連で小籠包を食べて、川の水を飲んだ。
小籠包は、細い髭を生やした店のおやじが珍しがってご馳走くれたんだ。


。。。。


それから、カバとパグは北京も超えて、モンゴルへ着いた。
モンゴルには、とても広い草原があって、ゲルと呼ばれるテントに人々は住んでいて、カバとパグにとても優しくしてくれた。
二人はここに住むことに決めた。

でも、1年が過ぎた頃、パグは生まれ育った日本の町が恋しくなって、しくしく泣いていた。
カバは決心した。

ぼくの背中にもう一度のりなよ。

そうして、カバはまた、ふわふわと浮かんで、途中、北京と大連で休憩しながら、日本へと戻った。

でも、君はまたあの橋の下で暮らすのかい?

いや、ぼくはもうかくれて暮らすのはやめるんだ。

そう言ってカバは幼稚園に行った。
幼稚園ではたくさんのこどもたちがカバを好きになって、ほごしゃのひとたちやせんせいたちがいっぱいリンゴやにんじんとか、カバの好きなものをいつもくれた。


カバの名前は、ぴんく。
パグの名前は、ハナ。

ふたりが住んでいるのは、、、日本のどこかの町。
もしかしたら、また、二人は空をふわふわ飛んで、大連やパリなんかに行くかも知れない。

アバター
2024/08/21 14:06
素敵



管理人
ケニー
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(今すぐ参加可能)
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全公開
カフェの利用
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カテゴリ
自作小説
メンバー数
12人/最大100人
設立日
2024年02月18日

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