丘陵
- 2025/11/20 10:30:43
遠くから見えた丘陵は、よくよく近づいてみると瓦礫の山だった。
何だかガラクタばかりに見える‥
(ナンダコレハ‥)
離れた場所に人影が見えた。オーバーサイズの山高帽を深々とかぶった
よれよれの身なりだったが、紳士風の男だった。
近づいて尋ねた。
「なんか、ゴミくずばかりみたいですね‥コレは?」
「ああ、これは皆が捨てていった【思い出】のかけらですよ。」
「!」
そういえば‥
ぬいぐるみ‥人形‥おもちゃ‥クラシックなカメラ‥小さい物で、アクセサリー、指輪、‥
そんなのに混ざって写真も多かった。風景‥ポートレート‥
言われてみれば、ツーショット写真が多く目についた。
「みんな、ここへ捨てて行くんです。」
「‥‥。」
「次の一歩‥明日へ歩みを進めるためにねぇ。」
「なるほど、捨ててしまわないと、進めないんでしょうね‥」
「そりゃ、アンタ‥、歩くのに荷は軽いほうがいい。」
緩やかな風が砂塵を巻きあげ、それらのオブジェの上にやさしく降り積もった。
その中で一枚の写真に目が留まった。手をのばし、ゆっくり拾い上げてみた。
そこに映った湖を背にした二人のツーショット写真‥。
(あいつ、捨てたんだな)
「捨てる場所があるってのはいいですね! こんな場所をうろうろしてるよりよっぽどいい。」
「そうですよ?人間忘れなきゃぁ、生きていけません。」
「ほんと、そう思います。」
丘の向こうまでなだらかに続く稜線を見渡して、数多くの人々の時間に思いをはせた。
それは、降り積もって重ね合わされた心の残照‥
「でも、こうゆう思い出たちが、愛おしく思えてならないのは、何故なんでしょうねぇ‥」
「‥魂に、刻みなさい。あんたが今度生まれ変わった時まちがえないようにね。」
・




























あ‥なるほど、そうですね。
リスタート(もう一度やり直す)っていう意味では
同じですよね^^
《今度生まれ変わったとき》
一瞬《来世に》とつけたくなるけど
《今生》でも間違いではない気がする・・・。