Nicotto Town


モリバランノスケ


続・たかおの話

今日は、まるで台風一過(?)。穏やかな、雲ひとつない、全くの快晴。空が、天高く奥の奥まで真っ青に、拡がっている。我々の心も、それに呼応。雑念の無い、無垢の状態。心の奥まで深く浸透した歓喜が、増幅され込み上げてくる。

今は、我が家のLunchの時間だ。皆で、楽しんでいる最中。午前中、私とチャムは、毎朝の習慣である、散歩に。大鷲の(たかお)は、この森の上を、軽く滑空してきた。老クスノキとも、挨拶し、会話を交わしてきた、との様子で、心から満足そうな表情を見せている。その様な寛いだ雰囲気の中で、お蝶が(たかお)に言葉を掛ける。

お蝶 (昨日の、たかおさんの話、私も、とても
   懐かしく聞きました。浜名湖東側に位置
   する街は、宮古島から北国への長旅で、
   途中に立ち寄り、疲れを癒やされた場所
   なんです。特に、あの松林は・・・・・)
たかお (そうなんだ。奇遇ですね!)
お蝶 (松林の奥に、美柑畑があったでしょう。
   あそこの奥さんには、大変にお世話にな   
   りました。すごく、気さくな方。ミカん      
   の白い花から、美味しいハチ蜜を、お腹
   いっぱい頂きました)

二人の親密な会話を、側で聞いていたチャムが、(ひょっとしたら、恋人同士になれるんじゃないですか?)と、茶化す様に冷やかしている。

お蝶は、チャムのそんな冷やかし言葉を聴き流すようにして、独り言のように、喋り始めた。

私、よく思い出すのは、あの松林の近くに住んでいた家族。子供が五人居ました。上から、女男男女男。長女が中学2年生、長男が小学3年生
次男が小学1年生、後は、幼稚保育園児。家族でミカン園に良く出かけ、親しくしてました。

奥さんが、自転車で買いに行ったみかんを、庭の物置に。何時も長男が、そこからみかんを、可愛らしい手に抱えて運んできた。兄弟姉妹、縁側に仲良く並んで、食べていた微笑ましい光景。私は、白樺の気に留まり、眺めていたの。

私は、お蝶の思いをききながら、先程の、二人は恋人に、と言うチャム発言について、(あながち、それは在りの話かもしれない)と、考えた。

然しながら、お蝶の命は、この5月頃に尽き果てる、運命。悲恋に終わるのは目に見えている。

<それは、やめたほうが良いだろう>




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